研究課題/領域番号 |
16K00760
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
松本 祥子 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (40435219)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 家族 / 社会的ネットワーク |
研究実績の概要 |
東日本大震災時に激甚被災地となった宮城県において食物アレルギーをもつ子どもとその家族は、いかにしてアレルギー対応食の確保を行ったのかについて、食物アレルギーをもつ子どもの親の会「あっぷるんるんくらぶ」の代表に(1)市民団体としての活動実態、(2)災害時における食物アレルギーに関する問題とその対応、(3)支援ネットワークの機能についてのインタビューを行った。 (1)市民団体としての活動実態:災害直後から仙台市内唯一の食物アレルギー食対応店が営業を再開し、食物アレルギー対応食を必要とする客への販売を行っており、そこで得た食品を宮城県気仙沼市、石巻市といった特に被害の大きかった地域に「あっぷるんるるんくらぶ」会員が届けており、市民団体として情報ネットワークをもとにした活動を展開している。 (2)災害時における食物アレルギーに関する問題と対応:避難所では食物アレルギーへの理解不足から支援物資配布にあたり、トラブルが発生することもあった。行政の職員は食物アレルギー対応の非常食についての知識を研修などで得ていたが、それを配布する市民やボランティアスタッフには、そのことが伝達されなかったことから、食物アレルギー対応食が必要とされている避難者に配布されないことがあった。しかし、これらの事態を経て、宮城県においては避難所における非常食は食物アレルギー対応食が準備されることとなった。 (3)支援ネットワークの機能:宮城県では市民団体「あっぷるんるんくらぶ」が中心となり、食物アレルギーをもつ子どもの家族への支援が行われた。また、全国からの支援についても「あっぷるんるんくらぶ」が主に対応してきた。また、アメリカからの食物アレルギー対応食の支援物資への対応を機に岩手県釜石市の食物アレルギーをもつ子どもとその家族と連携することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2009年より食物アレルギーに関する調査に取組んできこともあり、調査対象者の協力のもと順調に研究を進めることができている。ただ、東日本大震災時の宮城県や仙台市の行政の対応についてのインタビューを実施する際、担当者が人事異動しており、当時の担当者に話を聞くことが難しい状況にあったが、資料をもとに整理をしているところである。 同時に平成29年度に予定しているアメリカでの調査についても対象企業や調査対象者との日程調整を進めており、研究計画の予定通りに進められている。
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今後の研究の推進方策 |
申請時は、調査対象を東北では宮城県に限定していたが、宮城県の食物アレルギーの子どもをもつ親の会へのインタビュー調査を実施した際、東日本大震災時に岩手県釜石市の小学校などへも支援物資を提供するなどの連携した経緯が明らかとなったことから、岩手県釜石市でのインタビュー調査の必要性がでてきたので、こちらの地域での調査も追加する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料整理をするためにノートパソコンを購入いたしましたが、申請時に購入計画していた機種と同様のものが安価に入手することができたため、平成28年度の予算と使用額に差が生じました。また、アメリカでの調査を実施するにあたり、対象者や対象企業との情報共有をするなかで、平成29年度にアメリカでの調査費用が増えることから予想されることから、平成28年度の旅費の支出を控えました。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は当初の予定になかった岩手県釜石市での調査を追加する予定であること、また当初からの予定にあったアメリカでの調査研究の際に要する旅費が高くなっていることからそれらについて使用する予定である。また、インタビューのテープ起こしをする際の費用が必要であることも明らかとなったため、人件費を多くする予定である。
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