研究課題/領域番号 |
16K00767
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研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
尾崎 文夫 湘南工科大学, 工学部, 教授 (10712474)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 見守りロボット / 歩容認証 / 車椅子認識 / 移動ロボット / 深層学習 / RGB-Dセンサ / 物体検出 |
研究実績の概要 |
高齢者生活支援ロボットのための認識機能として歩容認証機能、車椅子の認識機能などの機能研究を継続している。またロボットの移動機能として室内の地図を教示により自動生成する機能を実装し、室内で指定した点に移動する機能を実現した。 歩容認証機能は高齢者施設などの大部屋での入居者の出入りを確認し、出ていった人が認知症を患っているなどケアを必要とする人かどうかを認識するための機能である。夜間は部屋は暗いので、画像処理による顔認識では人物認識がうまくいかない可能性が高い。そのため夜間でも利用できる赤外線カメラにより人体の関節位置を計測し、その関節位置から計算される歩容(歩き方)により人物を特定する技術を検討した。退出者がケアの必要な人であればナースステーションなどに連絡することで見守りを実現できる。 昨年度基本機能の確認を行った。基本機能とは被験者に出来るだけ真っ直ぐに歩いてもらったデータを用いての歩容認証のことである。これは95%程度の精度で認識できた。今年度は被験者にある程度自由に(入り口から室内に向け、特に直線を指定せずに)歩いてもらったデータを用いて認証を行ったが、60~70%程度の精度しか出ず、現在検討しているような状況である。今年度更にデータを増やして研究を行う。 車椅子認識においては物体認識の様々な手法(SSD、Yoloなど)が開発され、それを適用できるかを検討中である。車椅子の認識と、車椅子までの距離計測を組み合わせて追従を実現する予定である。 移動制御の研究においてはロボットを実験室内でハンドコントローラを用いて誘導し、実験室の地図を自動で学習させ、学習した地図内の点を指定することにより、実験室内の移動が出来るところまでの開発を行った。今年度は人や車椅子への追従などの機能を追加し、見守りロボットとしての完成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は歩容認証がより実際の場面で使うことが出来るように被験者に自由な歩き方をしてもらったところ、一昨年度の精度に遠く及ばない結果となってしまった。それに関してデータの正規化など様々な検討を行っているが未だ精度を上げることが出来ていない。 それと同時に物体認識にも取り組んでいるが、日進月歩の技術革新に十分についていけていない状況が続いている。 1つには学習のために大変な時間がかかるため、なかなか進められないということもあるため、今年度は高速な計算機を導入し、この状況を突破する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
歩容認証や転倒認識に関しては、とにかく学習データを集め、多くのトライアンドエラーを繰り返して、見守りロボットして必要な認識精度を達成していく。その中で認識手法としてどのようなものが良いのか、データはどういう風に正規化すればいいのかを明らかにしてく。 出来た認識機能をロボットに実装し、ロボットを実際に動かすことにより、見守りという機能を実現していく。ロボットに搭載する場合、ロボットの動きや、ロボットの位置により、認識すべき対象との関係が変化していく。そのような際に、安定した認識を実現するにはどのようにすべきかを検討する。 移動ロボットの移動制御に関しては昨年度開発した、実験室の地図生成および指定点への移動機能に加え、人や車椅子への追従機能を開発し、見守りロボットとして実際にうごけるように実装を行っていく。 これらの機能を見守りロボットシステムとしてまとめ、使える見守りロボットの実現を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究を進めるうちに深層学習にはそれなりのコンピュータ(PC)が必要で現有のPCでは十分な計算が出来ないことがわかった。そのためあえて今年度の使用を控え、研究に必要な仕様の計算パワーを備えたPCを購入することとした。 (使用計画) 進めている認識機能(歩容認証、車椅子認識、転倒認識など)の実装に深層学習が有効なことがわかったので、これらの認識機能を実現するためのデータをさらに集めた後、購入予定のPCに於いて学習を行わせ、学習したモデルをロボットに実装することでロボットの認識機能として実装していく。
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