1)ローテンブルク市役所を訪問し、歴史的町並み・建造物の保全・保存に関する法制度、具体的取組、組織、建築規制、学校教育における町並み学習等について担当者から聞き取りを行った。また城壁内市街地に残る旧ユダヤ人街の住居の保存・再生に取り組むNPO法人の活動内容や建物保存状況の現地調査を実施した。 2)学校や地域での町並み学習教材として、平成29年度に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された大分県杵築市を対象に、大分県指定有形文化財「大原邸」をモデルにしたペーパークラフトを開発した。これより、身近な歴史的建造物を教材とした町並み学習の展開が可能となった。 3)町並み保存の次世代育成の取組として、新たに「きつき子ども歴史ガイド」(大分県杵築市)や大分県内他地域における同様の実践例を収集した。子どもガイドの育成には多様なスタイルがありうることが明らかとなった。 4)科研費で開発したペーパークラフトを活用した住まい学習の授業実践例を収集した(山梨県A高校ほか)。 5)平成30年3月に全国の重要伝統的建造物群保存地区117ヶ所を対象に実施した学校アンケートの結果を集計・分析し、学校教育の場を活用した多様な町並み学習の実践状況を把握した。また佐賀県鹿島市等を対象にモデル的な学校での町並み学習の取組内容や教材収集を継続した。 以上のほか、3年間の研究実施期間全体を通じた研究成果として、伝建地区等の歴史的集落・町並み保存のための次世代育成の取組を全国規模で明らかにし、同時にモデル地区において詳細に把握すると共に、町並み学習のためのオリジナル教材としての民家ペーパークラフトの提案とそれらを使った授業実践・評価の結果等を踏まえながら、学校・地域・自治体・NPO等との多様な連携による町並み保存の次世代育成のためのプログラム(骨子)を検討し、町並み学習の意義・方向性・課題等について整理した。
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