研究課題/領域番号 |
16K00786
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
柴田 祥江 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任講師 (20624357)
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研究分担者 |
澤島 智明 佐賀大学, 教育学部, 教授 (40404115)
西尾 幸一郎 山口大学, 教育学部, 准教授 (70426534)
松原 斎樹 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80165860)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高齢期 / 居住環境 / 環境バリアフリー / 在宅介護環境 / 満足度 / 単身高齢者 / 居住継続 / 健康被害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,高齢期に生じる健康被害や,生活上の不具合を居住環境バリアフリー(以下B.F.)の視点から解決策を探ることである。わが国は超高齢社会がさらに進行し,高齢期が長期化し,多くの高齢者は,何らかの支援・介護が必要になる。ADLにより高齢期を4期に分類し,ライフステージに応じた居住環境B.F,化を促進する必要がある。また,住宅内で発症する熱中症やヒートショックは生存に関わる温熱環境バリアであり,対策は緊急課題である。 30年度は,(1)要支援・要介護期の居住環境B.F.化を評価するために,2002年に作成した評価票に,「介護環境」「癒し環境」の項目を付け加えた評価票を作成,ウエブで対象者を抽出して,アンケート調査を行なった。対象者は,「 近親者の在宅介護を行なっているか,5年以内に行なった」介護者とした。その結果,在宅介護を行なっている介護者は居住環境B.F.化の満足度が低いこと,とくに温熱環境と介護環境の満足度が低いことが分かった。 (2)単身高齢者が顕著に増加しており,高齢者が地域の中で居住継続するためには,何気ない暮らしの維持が重要であり,別居家族や友人・知人,自宅や地域の環境など地域社会からの支援が求められている。単身高齢者の家事遂行の状況を把握し,環境要因との関わりについて分析するためにアンケート調査を行なった。その結果,家事や住居管理の中でも,掃除や整頓の遂行頻度が低い高齢者は高い高齢者と比べて,自宅への来客は殆どなく,近所付き合いも少ない傾向がみられた。また,階段の昇降,ドアの開閉のしやすさなど居住環境の満足度は低く,バリアとなっている。 (3)熱中症対策について,体感温度の認知による対策の有効性を明らかにし,論文投稿,掲載された。 元年度は,データ分析をすすめ,その関連要因を明確にするとともに,必要に応じて詳細な調査を行い,課題解決の方策を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
30年度は,一昨年度までにできていなかったウエブアンケート調査(1)要支援・要介護期の居住環境B.F.化を評価するために,介護者を対象とした介護環境バリアフリー化に関する満足度評価,(2)高齢者が地域の中で居住継続するため, 一人暮らし高齢者の家事遂行に関する調査,を実施することができた点ではすすめられたが,全体の進捗を考えると未完である。 得られたデータを分析・検討を行い,論文投稿や学会発表を行うことができたが,さらに論文投稿をしていかねばならない。 また,さらに詳細な分析を行う必要がある。具体的には,高齢者の心身状況や,家族環境,地域環境などとの関連性について,分析・検討をすることが必要である。また,これまでに得られたデータとの比較検討も必要である。 詳細な実態把握をするために,回答者を依頼するのに困難が生じていたが,身近なところから面接調査などをすすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,延長年であるので,これまでの得られたデータや,すでに,我々が実施していた「健康で自立して生活している高齢者を対象にした研究」ともあわせて総まとめとして一定の結論を導いていきたい。 30年度に実施した(1)要支援・要介護期の居住環境B.F.化を評価するために,介護者を対象とした介護環境バリアフリー化に関する満足度評価,(2)高齢者が地域の中で居住継続するため, 一人暮らし高齢者の家事遂行に関する調査,では大量のデータが得られているので,分析・検討を行い,論文の作成,投稿をしていく。 さらに詳細な分析を行う必要があり,具体的には,高齢者の心身状況や,家族環境,地域環境などとの関連性について,分析・検討をすることが必要である。 ライフステージに応じた居住環境B.F,化を促進する具体的な提案ができるように,研究をすすめる。また,広く当事者の対策に有効な情報発信をしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度に関しては,介護環境を加えて修正した評価票を作成し,ウエブによるアンケート調査を実施するとともに,一人暮らし高齢者を対象に調査を実施した。加えて詳細な実態調査を行う予定であったが,未実施に終わっているので,本年度に実施したい。また最終年度であるので,研究成果について,学会発表や論文投稿を行いたい。その費用である。
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