研究課題/領域番号 |
16K00789
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
葛西 リサ 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (60452504)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 空き家 / シェア居住 / シェアハウス / ケア / 住宅支援 / 居住貧困 / ひとり親 / 母子世帯 |
研究実績の概要 |
母子世帯のシェアハウスニーズに関する調査を実施した。具体的には、1)一般の母子世帯に対する聞き取り調査、2)シェアハウスへの入居を検討する当事者への聞き取り調査、3)実際にシェアハウスに入居をしている当事者への聞き取り調査を実施した。 1)については、母子世帯を支援するNPO団体への依頼や母子世帯が参加する自助グループへの働きかけにより対象者を選定した。2)については、2つのシェアハウス事業者の協力を仰いだ。最後に3)については、首都圏にあるシェアハウスAの協力を得た。 シェアハウスは、離婚前後の住宅確保に迫られた段階で求められる傾向が高いことが分かった。離婚により婚姻時の住宅を出て、次の行き場としてシェアハウスが選択肢にあがるということである。その中でも、ハウスニーズは1)住宅施策の代替として活用されるケース、2)コミュニティへの帰属のメリットを求めるケースが主要なものとして挙がった。1)については、離婚後に、様々な住宅確保の困難(一時金確保の困難、保証人確保の困難、入居差別等)に躓き、シェアハウスのほかに行き場がなかったというケースである。続いて、2)については、1人での子育てに不安を感じ、誰かと暮らす安心感、ケアの相互補完など集住のメリットに惹かれ、あえてシェアハウスを選択したというケースである。これらのニーズについては、所得階層、それまでの住宅歴や住意識等が強く影響している可能性もあるため、今後は、定量調査を実施し、具体の分析を行うことが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、1年目に、一般の母子世帯へのアンケート調査を広く実施する予定であったが、一般世帯のシェアハウス周知度や住意識等について把握したのち、調査票を作成する方が合理的との判断に至り、まずは、一般母子世帯等への聞き取りを優先したため。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、聞き取り調査より把握したニーズは当事者の所得階層や学歴、住宅歴、住意識等に強く影響を受けると考えられるため、今後は、一般母子世帯のシェアハウスニーズの定量調査を実施したい。 第2に、諸外国における母子世帯用シェアハウスの実態調査を実施する。現時点では、デンマーク及び米国での調査を予定している。各国でなぜ、母子世帯用シェアハウスが求められ、そこでどのような暮らしがなされ、どの段階で、ハウスを退去するのか。日本における母子世帯向けシェアハウスの実践はまだ始まったばかりであり、課題や将来像など未知な部分も多い。よって、諸外国の事例から学ぶべき点は多いと考えられる。 第3に、国内で母子世帯向けシェアハウスを展開するにあたってのガイドラインやマニュアル、ひいては、認定制度の是非について、ハウスを運営する企業、NPO、行政を絡めたワークショップを実施し、その成果について社会にフィードバックする。
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次年度使用額が生じた理由 |
見込んでいた近距離調査が年度末に急きょキャンセルになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度に、予定していた調査を実施することとする。
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