研究課題/領域番号 |
16K00790
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
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研究分担者 |
栃原 裕 九州大学, 芸術工学研究院, 名誉教授 (50095907)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 循環型社会 / 男女共同参画 / 制服 / 企業 / 環境対策 |
研究実績の概要 |
わが国では、平成13年に循環型社会形成推進基本法が施行され、資源の有効活用に向けた様々な取り組みがなされている。衣料品の3R率は他分野に比べて低いが、同質素材を多くの人々が着用する制服は、回収ならびにリサイクルがしやすいと考えられる。そこで、全国の企業を対象に、制服の採用状況を調査し、循環型社会形成と男女共同参画という視点から企業の制服の在り方を検討した。 調査は、全国の衣類、食品、住宅、旅行関係の企業(計400社)を対象に郵送法による質問紙調査を2016年6月~7月に行った(回収率25.8%)。企業の業種や所在地、実施している環境対策、職種や性別による制服採用の有無や制服に対する意識等について、人事担当者に回答を求めた。 その結果、制服を採用している企業は55.3%で、業種別にみると食品関係は91.3%、住宅関係は77.4%、衣類関係は25.0%、旅行関係は21.1%であった。職種別では、製造職が60.0%で最も多く採用していた。総務・事務職と営業・販売職では、女性のみ制服を採用している傾向がみられた。女性のみ制服を採用している企業は、その理由に「女性は服装が幅広く、統一するため」をあげた。環境に関する地域貢献活動ならびに節電対策と制服採用の有無に有意差がみられ、環境に関する地域貢献活動、節電対策を行っている企業ほど制服を採用していた。また、実際に制服を採用している企業では、制服採用について「企業のイメージアップが図れる、一体感が生まれる」の意見が多くみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、職業に従事する多くの人が「長く大切に着る」職場の制服を通して、環境に配慮した循環型社会形成に向けた意識の醸成を目指すことと、表現メディアとしての制服に着目し、よりよい人間関係の構築と自己概念を高め快適に仕事を遂行する環境づくりの一つとして制服のあり方を提案することを目的とするものである。1年目は職場の制服に対する実態調査を行い、調査結果を踏まえ、2年目以降は制服の効用について着用実験を通して検討予定であるので、3年の計画からはおおむね順調と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に実施した職場の制服に関する実態を踏まえ、職場をフィールドに私服着用(通常)と制服着用時とで、着用者の心理や仕事の能率にどのような違いがみられるか調査する。具体的には、事務職員に私服を着用した状態(月曜日から金曜日)で勤務してもらい金曜日の勤務後に私服を着用した状態で①②について回答を求める。①アンケート:年齢、仕事のやりがいやストレス・仕事の能率等、スタッフ間の対人関係や仕事の雰囲気等5段階評価、②作業:内容は二つで、一つは、並べられた数字を足し算していくという作業でもう一つは羅列した文字の中から指定された文字のみに印をつけていくという作業である。1週間の間をおいて同様の調査を制服を着用した状態(月曜日から金曜日)で実施し、制服と私服の結果を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に制服に関する全国の企業を対象とした調査を行ったが、28年度の調査より明らかになった結果をもとに、年度内にさらに従業員を対象とした調査を行う予定であった。しかし、どの企業にしぼるかさらなる検討が必要となったため29年度に繰り越すことになった。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度の調査結果を踏まえ、全国の企業の従業員を対象とした大規模調査を実施する予定である。そのため印刷、郵送(往復)代、補助者の人件費として使用する予定である。
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