[最終年度]クリニック受付の制服に着目し、男女共同参画社会の実現ならびに患者の視点から望ましい制服について検討した。福岡市内の美容クリニックにおいて、異なる7種のデザインの制服を着用した5名の受付スタッフに対する印象を253名の患者に求めた結果、ワンピーススタイルは、パンツスタイルより好まれたが、ウエストにピンク色のラインを施したチュニックとパンツの組み合わせを着用した場合は、同じ色のデザインのワンピースを着用した場合よりも「接遇の内外面、冷静さ・真面目さ」が高く評価された。 [期間全体]わが国では、2000年に循環型社会形成推進基本法が制定され3Rの考え方が導入された。衣料品のリサイクル率は他の製品に比較して低く、課題は大きい。素材が統一され、一度に回収可能で、多くの人が長く大切に着用する制服は、循環型社会形成推進に有効ではないかと考えられる。 そこで、官公庁の行政事務に携わる職員942名を対象に職場の制服について調査した結果、制服着用者は私服着用者より職場に一体感があると感じ、制服着用者の朝起床後から出勤するまでの時間や一か月の被服費は私服着用者より少なかった。私服着用の大学の女性事務職員24名を対象にした私服と制服着用時での計算問題や文字検索の被験者実験では、制服着用時の方が私服着用時よりも総仕事量は多くミスの割合は低かった。仕事時の状況は、制服着用時の方が私服着用時より緊張感は高く、私服着用時の方が制服着用時よりも動きやすいと評価された。異なる制服を着用したクリニック受付スタッフに対する253名の患者の評価では、ワンピースが好まれたが、パンツスタイルのデザインを工夫することで「接遇の内外面、冷静さ・真面目さ」が高く評価された。 以上より職務遂行と循環型社会形成に制服の有効性が示唆され、今後は男女共同参画社会実現や機能性に着目した制服のデザインの工夫が求められる。
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