試料提供者対象住宅の掃除機中の塵(ダスト)を毎月、もしくは4期(四期 春:4~6月、夏:7~9月、秋:10~12月、冬:1~3月)採取した。さらに3~4種類の調査(落下法AS法、PC法と、微生物センサ法)の測定方法を住宅において実施した。室内塵(掃除機内のダスト)は、月に1回採取し検出カビの分離・同定を試みた。 試料中のカビ汚染状況調査の結果、すべての住宅においてほぼ毎月検出された主要カビはCladosporium、Penicilliumであった。次いで高頻度検出カビはAspergillus属のversicolorとniger、および酵母であった。室内塵(ダスト)1gあたり検出カビ数は10の5乗個前後で昨年と同様であった。室内塵(ダスト)1gあたりの検出カビ数が少ない月であっても10の4乗個、多い月であっても10の6乗個であった。同時に大気中のカビ汚染状況を確認しているが、浮遊カビが多い季節は室内塵(ダスト)中のカビの増加がみられるような比例関係は確認できなかった。Cladosporium、Penicillium、Aspergillusは、人によってはアレルギーを引き起こす事がある。感受性の閾値は人それぞれであるが、一般家庭において室内でのカビ発生は望ましくない。室内塵(ダスト)1gあたり検出カビ数は10の5乗個程度を越えないよう日頃より心がけが必要であろう。 プライバシーの観点より室内塵(ダスト)の提供者が想定より望めなかった。評価方法の標準化のために生活環境の快適評価の客観的評価法を作成するには、多くの室内中の常在カビを得る手段を新規に見いだす必要が求められる。そしてその新規採取方法と掃除機中の室内塵(ダスト)の妥当性の確認も必要となる。新規採取方法の検討とそのカビ汚染の関連性について検討を試みたいと考える。
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