研究課題/領域番号 |
16K00798
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
須藤 良子 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (20573190)
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研究分担者 |
岩永 悦子 福岡市美術館, 運営部, その他(移行) (10590440)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コプト / インド更紗 / 染織 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究実績では、国内調査、国外調査を行った。 国内調査では、女子美術大学が所蔵するコプトの染織品約200点の調査を終了した。福岡市美術館では、約100点のコプトの染織品調査を終えた。福岡市美術館のコレクションは旧長尾美術館が所蔵していたもので、女子美術大学のコレクションとの関連を調査する必要がでてきた。また国外調査ではイギリス・ロンドンのヴィクトリア&アルバートミュージアムにおいて、コプトの染織品6点と中世イギリスの刺繍作品の調査を行った。コプト染織品では、文様の多様性を中心に年代に幅を持たせた作品を選別し調査を行った。中世のイギリスの刺繍作品と比較することで、織りの技法と刺繍技法との比較調査を行うことができた。国外調査の2回目はペルー・リマの天野テキスタイルミュージアムに調査に赴いた。天野ミュージアムでは600年頃のパラカス文化の染織品から1500年頃までのインカ文化までの染織品を調査した。アンデスはアジア・ヨーロッパ大陸との交流が断絶していたため、独自の文化が発達し、文字を持たない人々にとっては、文様がコミュニケーションツールとして重要な役割をはたしていた。一方コプトの染織品は、ギリシャ文明の土壌に初期キリスト教、イスラム教など異文化や異民族が融合して発展した染織品である。しかしながら遠く離れた2つの染織品には同じ織技術が使われ、同じような図像も認められるため、つぶさに調査をすることで、影響しあわずとも人類が共通して持つ知恵の一端が表現されているのではないかと考え、両者の比較調査を実行した。分析と研究は引き続き行うが、コプトにおけるインド文化の影響とともに、大変興味深い分析ができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内、国外調査はおおむね順調に進んでいるが、放射性炭素年代測定が実施できていない。その理由として、国内の分析対象の作品調査の時期が年度末になってしまい、測定に至ることができなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の調査は国内調査を引き続き継続し、放射性炭素年代測定法での分析を実施する。国外調査では2か所程度の調査地を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
放射性炭素年代測定が実施できなかったため、次年度での使用を計画している。
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次年度使用額の使用計画 |
約10点の作品について、放射性炭素年代測定を実施する。
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