最終年度は、建築物に付属する庇、東屋、ステージ屋根などの日除け構造物下において6方向UV測定を実施した。実測は2018年8月および9月に、大同大学キャンパス内の7箇所の日除け構造物下および近傍の日向において、同時に6方向UV測定を実施した。実測値に基づき、各測定点における6方向各面の紫外線防御指数PFを算出した。また、各測定点における天空率とUV Indexとの関係から、天空率が大きくなるに従って、UV Indexが大きくなる傾向を示した。 研究期間全体を通して以下の研究成果を得た。(1)水平面紫外線量の測定に基づいて、オーニング、テント、樹木による紫外線遮蔽効果を明らかにした。これらの遮蔽構造物によって紫外線環境が大きく改善されることを示した。(2)次に、水平面1点のみの測定を、6方向(上下東西南北)測定およびマネキン多点測定に拡張した。6方向UV測定とマネキン多点UV測定を同時に実施し、6方向の測定でも人体全身に照射する紫外線量を高い精度で推定できることを示した。(3)天空率および地表面素材の異なる地点において6方向UV測定を行い、各面のPFを算出した。この結果、6方向各面のPFを把握することによって、従来の水平面1点のみのPFよりも紫外線環境をより詳細に評価できることを示した。また、紫外線反射率が高い雪面の測定により、上面だけでなく、側面に照射する紫外線および地表面で反射した紫外線を評価に含めることが重要であることを示した。(4)人体に照射する紫外線をより詳細に評価するには、人体各部位の多点において紫外線量を測定することが最善である。マネキンの各部位24点にUVセンサを取り付けた2体のマネキンを用いて、各種UV防御アイテムの紫外線遮蔽率を明らかにした。その結果、「衣服+アームカバー+日傘」の組み合わせのUV遮蔽率が60.3%で、最もUV遮蔽効果が高いことを示した。
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