研究課題/領域番号 |
16K00803
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松田 克礼 近畿大学, 農学部, 教授 (30268453)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 環境改善 / 花粉症対策 / PM2.5対策 / 静電気 |
研究実績の概要 |
申請者は、静電場を利用し、風は通すが、花粉や煙草の煙、PM2.5を遮蔽できる窓「プラズマウインド」の開発を試みている。本年度は、昨年度に得られた実験結果に基づき、軟質塩化ビニル樹脂に抵抗値の異なる可塑剤を添加し、電極の絶縁被覆材がスギ花粉、および、タバコの煙の捕捉効果に及ぼす影響を検討した。その結果、抵抗値が10の1乗から10の6乗Ωの範囲では、印加する電圧に応じて微小放電の発生が増加し、花粉および煙の両者とも捕捉率は50%以下であった。また、抵抗値が10の10乗Ωより高くなると、電極間に形成される静電場が弱くなり、捕捉率は10%以下になることが確認された。そこで、10の7乗から10の9乗Ωの範囲の抵抗値を一定間隔で調査したところ、6×10の8乗Ωの抵抗値が最適であり、7kV以上の印加電圧において捕捉率を100%にすることができた。 次に、導体の棒を6×10の8乗Ωの軟質塩化ビニルで絶縁被覆した電極を用いて、60㎝×60㎝の窓を作成した。窓を挟んだ両側に直径30㎝のアクリルパイプを設置し、塗料をスプレーするコンプレッサーを用いて一方から花粉と煙を吹き付け、電極間距離と印加電圧が捕捉率に及ぼす効果を調査した。その結果、電極間の隙間を5㎜とした場合、5kVの印加電圧で100%の捕捉率を得ることができた。また、窓を挟んだ反対側にイオンカウンターを設置し、マイナスイオンの発生量を調査したところ、1立方センチ当たり、500万から1000万個のマイナスイオンを確認することができた。さらに、生成されるマイナスイオンの量が、湿度に比例して増加することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年から29年度に実施したプラズマウインドによる花粉の捕捉効果については、オンラインジャーナルInternational Journal of Environmental Research and Public Healthに公表されている。また、PM2.5と煙の捕捉効果については、オンラインジャーナルInternational Journal of Scientific Research in Environmental Sciencesに公表されている。
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今後の研究の推進方策 |
プラズマウインドをモデルハウスの窓と換気口に設置する。花粉やPM2.5は遮蔽され、新鮮な風だけが、屋内に取り込まれることを確認し、同時に生成されたマイナスイオンが室内に取り込まれることを確認する。そこで、実用化に向けて以下の内容を検討する予定である。 1)長期間の連続稼働による問題点の発掘 2)自然環境における耐久性について 3)自然環境における遮蔽効果の安定性について 4)プラズマ・マイナスイオン生成の安定性について
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