研究課題/領域番号 |
16K00810
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
谷本 守正 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60621323)
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研究分担者 |
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40312392)
佐藤 薫 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (40714655)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脂肪球径 / モッツアレラ |
研究実績の概要 |
脱脂乳に乳脂と比べ融点の低い植物油(オリーブオイル)を混合し、脂肪球径を大(平均粒子径約3μ)と小(平均粒子径1μ以下)に調整した原料乳を用い、モッツアレラタイプのチーズを作製した。テクスチャーアナライザーを用い、試料温度60℃と20℃において、曳糸性を評価した。脂肪球径が大きいほうが曳糸性が顕著であった。 前年度までに、きのこ酵素の凝乳機構がレンネットと異なると分かっている。乳中の各成分量を変えた調製乳を作製し酵素添加することで凝固時点のきのこ酵素の特徴をみた。動的粘弾性測定よりαs1-カゼイン、β‐カゼインを減少させた乳ではきのこ酵素とレンネットの差異はなかった。水溶性Ca量はきのこ酵素がレンネットより凝乳に必要な最低量が多く必要であった。ホエイタンパク質を減少させることで、きのこ酵素の凝乳がレンネットより早くなりタンパクと酵素の関係性に違いがあった。酵素反応させたカゼインの粒径よりきのこ酵素はカゼインミセルを壊さず粒形を保つことがわかった。モッツァレラタイプチーズの分析よりきのこチーズは従来よりも高いpHでも展延性が認められ、チーズ中ミネラルの減少から裏付けされた。チーズカードのタンパク質分析より、きのこチーズでβ‐カゼインの分解が認められレンネットチーズにない低分子でのタンパク質が検出された。以上より、きのこ酵素は複数のタンパク質を分解しており、レンネットと異なる凝乳機構を形成することが示された。 酸カゼイン溶液の性質を調べた。加熱前の酸カゼイン溶液は見た目には生乳と変わらない、液状に見えたが動的粘弾性測定より構造体を形成していることがわかった。また分散物は生乳中のカゼインミセルの粒径より5倍以上大きかった。80℃の加熱でゲル形成しゾルゲルは不可逆であった。ゲルは熱可塑性を有し離水はなかった。 限外濾過膜を用いたタンパク質濃縮物を観察し、再現性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
乳の加熱条件、凝固条件(酸、レンネット、酵素)、カードのpH変化とCaのコントロールなど諸要因を組み合わせ、乳ゲルの物性測定によりチーズマトリックスの状態解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 測定用治具は既得のものを利用し、現時点での購入は発生しなかった。 (使用計画) 治具や測定機器部品は使用頻度により消耗するので、今後、経費の発生は生じる予定である。化学分析についても、経費発生する予定である。
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