研究課題/領域番号 |
16K00818
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
市川 陽子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (50269495)
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研究分担者 |
下位 香代子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10162728)
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70195923)
望月 和樹 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80423838)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フラボノイド / 機能性活用 / 生体内炎症マーカー / ヒト試験 / 食事摂取 / 調理方法 |
研究実績の概要 |
本研究では、疾病予防効果を有する食品機能性を活用した食事を推奨するための科学的根拠の蓄積を目的に、高フラボノイド食の調製に必要なデータベースの作成と、開発した高フラボノイド食を用いたヒト介入試験により、継続摂取後の疾病リスク低減効果について検討する。平成28年度は、(1) 高フラボノイド食継続摂取における生体内抗炎症効果の検討、(2) 食材別・調理法別のフラボノイド含有量の測定を、食品数を増やして行った。 (1)では、BMI25以上の軽度肥満男性(22-38歳)を被験者とし、2日間のウォッシュアウト後、7日間高フラボノイド食またはフラボノイド低減食を継続的に摂取する試験を実施した。採血はウォッシュアウト後および7日間の継続摂取後に行った。また、FFQgにて被験者の習慣的な栄養摂取量を推定した。血球細胞中の炎症性サイトカインの遺伝子発現量をRT-PCRにて測定したところ、被験者6名中2名において、高フラボノイド食の摂取によりこれらの遺伝子発現量が低下した。肥満者では慢性的に生体内の炎症性サイトカインの発現量が高まっているとされるが、その発現量には個人差がみられ、この2名については日常的に抗酸化ビタミンの摂取量が高かった。抗酸化ビタミンがフラボノイドの機能性を増強させる報告もあることから、今回の高フラボノイド食摂取における炎症抑制効果の差は、日常的な抗酸化ビタミン摂取によるフラボノイドの機能性増強の影響があると考えられた。 (2)では、赤パプリカ、気パプリカ、水煮大豆、セロリを対象に7種類の調理法(生、焼き、炒め、ゆで、煮、蒸し、マイクロ波加熱)におけるフラボノイド含有量を測定した。その結果「生」と比較しフラボノイド含有量の減少が低い調理方法は「焼き」「蒸し」「マイクロ波加熱」であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年度は、ヒトにおける高フラボノイド食の継続摂取前後の生体内炎症マーカーの検討に着手した。また、食材別・調理法別のフラボノイド含有量、抗酸化能のデータベース作成のための測定については、新たに4種類の食材、7調理方法で検討することができた。 しかしながら、当初の計画では、年度内に食材の種類を10種類程度に増やして検討を行う予定であったため、やや遅れていると言わざるを得ない。この原因として、年度途中で測定機器(LC/MS)に不具合が生じ、修理に時間を要したことが挙げられる。他研究室との共同利用機器であるため、使用にあたっては他の使用者との調整が必要となり、計画通りのペースで測定を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、機器の修理は完了し、食材別・調理法別でのフラボノイド量の変化についてデータの収集を開始するところである。今年度中にフラボノイドを含む主たる食材について、フラボノイド含有量および抗酸化能の調理過程での変化傾向を調べ、まとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に、測定機器(LC/MS)に不具合が生じ、修理に時間を要したことにより、食材別・調理法別のフラボノイド含有量の測定の実施が順次遅延している。次年度の食材の種類を大幅に増やしての測定、機器メンテナンスのために、計画的に繰り越しを行った。
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次年度使用額の使用計画 |
「今後の研究の推進方法など」に記載したとおり、今年度中にフラボノイドを含む主たる食材について、一通り、フラボノイド含有量および抗酸化能の調理過程での変化傾向を調べ、データベース作成のための整理を行う予定である。次年度使用額は、これらの測定に係る試料、試薬、カラム、機器保守費用の一部に充てる。
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