研究課題/領域番号 |
16K00820
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
田淵 真愉美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (60389020)
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研究分担者 |
新田 陽子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (70403318)
我如古 菜月 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (70508788)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 米粉麺 / 中アミロース米 / 力学特性 |
研究実績の概要 |
日本の米消費拡大の取り組みの一つとして、米粉を使用した食品の開発が求められており、米粉麺が候補となるが、日本で消費されるアミロース含量が低いジャポニカ米は付着性が高く、米粉単独では麺には不向きである。このため、本研究で用いる中アミロース米からなる低価格米粉を用いて麺を作製する際にはグルテンのような物質の添加が必要となると考えられる。岡山県新規需要米生麺協同組合は、水溶性多糖類であるアルギン酸ナトリウム(以下アルギン酸)を麺に添加し、カルシウムイオンを含む溶液に麺を浸漬させてアルギン酸をゲル化させることによって麺を作製している。そこで、アルギン酸のゲル化を利用して作製した低価格米粉の麺の力学特性を評価した。 麺の硬さは、せん断圧縮試験により評価した。米粉単独で作成した麺は、90%以上圧縮しても荷重値に極大は見られず、単調な増加を示した。一方、0.3 w/w%となるようアルギン酸を添加した麺は、圧縮過程で荷重の極大が見られ、破断が生じた。米粉単独の麺の荷重の最大値をアルギン酸添加麺の破断荷重と比較すると、アルギン酸添加麺の値が大きかったことから、硬さは増加したと考えられた。この結果は、官能評価の結果とも一致した。麺同士の付着性は2回繰り返し圧縮試験によって評価した。アルギン酸濃度の増加に伴い、付着性の相対値は減少し、麺同士のくっつきやすさが改善されたと考えられた。また、麺の滑らかさを評価するために麺同士の摩擦を調べたところ、アルギン酸濃度の増加に伴い、摩擦の相対値は減少し、麺同士の滑りが改善したと考えられた。 以上の結果より、アルギン酸とカルシウム処理によって得られた米粉麺は、硬さが増加し、付着性が低下することが確認できた。この結果は、本研究で用いた中アミロース米からなる低価格米粉の麺への適性を示すものであり、日本の米消費拡大に寄与できる食品として期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低価格米粉を用いた米粉麺の力学特性の評価により、安定した品質の米粉麺の製造方法を確立することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、米粉麺以外の用途として、ルウ・ソース類における代替の可能性及び利用価値を見出すために、低価格米粉を用いたカレーソースの粘度測定を行い、従来の小麦粉のカレーソースと比較し、これまでの官能評価の結果を踏まえ、低価格米粉を用いたカレーソースの製造方法を確立する。さらに、一般消費者に普及させることを目的として、試食会を実施し、アンケート調査により料理の食味や食感などを評価してもらい、安定した品質の米粉カレーの製造方法を確立し、低価格米粉の需要拡大を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予定していた米粉カレーの粘度測定が遅れたため。 (使用計画) 米粉カレーの粘度測定のための材料及び試薬の購入を予定している。
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