研究課題/領域番号 |
16K00822
|
研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
谷本 昌太 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (80510908)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 臭い / 魚 / 加熱 / 酸化 / ハマチ / 臭いかぎ分析 / 揮発性成分 / GC/MS |
研究実績の概要 |
揮発性成分を分析した結果、加熱試料では血合肉と肩肉の間で2-Propenalなどの16種類、肩肉と腹肉の間でLimoneneなどの15種類、血合肉と腹肉間で1-Penten-3-oneなどの27種類の揮発性化合物に有意差が認められた。生と加熱の試料間においては、血合肉で2,3-Butanedioneなどの6種類、肩肉でDimethyl disulfideなどの4種類、腹肉でEthyl etherなどの42種類の揮発性成分に有意差が認められ、全体的に加熱処理により増加する傾向が認められた。加熱した血合肉で他の部位と比べて多い化合物は、アルデヒド類、ケトン類やフラン類などで、腹肉で他の部位と比べて多い化合物は、テルペン類を含む脂肪族炭化水素類や芳香族炭化水素類などで、それぞれの部位で特徴が認められてた。加熱試料の各部位における臭いかぎ分析の結果、最大のスプリット比(216)で感知された化合物数は12個と血合肉で最も多く、次いで肩肉(10個)となり、腹肉が最も少なく7個となった。したがって、部位別では血合肉で臭いの強い成分が多く、普通肉の中では腹肉と比較して肩肉がより強い臭いを呈する成分が多かった。最大のスプリット比で感知された化合物数の中で、6成分がすべての部位で感知され、これらの成分が加熱したハマチの臭いのベースとなる重要な化合物と示唆された。また、これらの中で2,3-Pentanedioneを含めて4成分が同定された。 KI:808のfishyな臭いのする未知の成分や (Z)-3-Hexenalのように血合肉のみで最大スプリットで感知される成分、KI:1805のmilk-like、fattyな臭いのする未知の成分のように腹肉のみ最大スプリットで感知される成分が認められ、このような化合物が各部位の臭いを特徴づけていると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,予定していた官能検査等の実施が遅延している。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度において遅延している項目について早急に実施するとともに、今年度,研究協力者の数を増やすなどして実施体制を強化して事業を遂行する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入備品・GC-2014用炎光光度検出器が、当初予定した金額より安い金額で導入できた。交付決定額が当初の予定より少なかったため、次年度の研究に支障がないように慎重にかつ適切な予算執行に努めた。また、研究の進捗がやや遅れているため、それに関わる支出が少なかった。この結果として、次年度の使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初予定していた執行計画に加えて,前年度に未実施の研究項目に係る経費を支出する。
|