研究課題/領域番号 |
16K00822
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
谷本 昌太 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (80510908)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 臭い / 魚 / 加熱 / 酸化 / ハマチ / 臭いかぎ分析 / 揮発性成分 / GC/MS |
研究実績の概要 |
ブリ肉の各部位において加熱条件の違いによる脂質酸化および臭いへの影響を調べる目的で,過酸化物価(POV)およびチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)の測定と,脂肪酸組成および臭い成分の分析を行った。また,海産魚の臭いとされるTrimethyl amine(TMA)の定量と臭いかぎ分析を行った。さらに,官能検査を行い,加熱条件の違いによる臭いの強さと嗜好性の変化についても検討した。 POV,TBARSおよび脂肪酸組成は,いずれの部位も未処理の試料と比べて,加熱による有意な変化は認められなかった。揮発性成分の分析の結果,部位間で肩肉および腹肉に対して血合肉に有意差が見られた成分数は,高温加熱(90℃)で多かった。揮発性成分の主成分分析の結果,第1および第2主成分のいずれにおいても,異なる温度で加熱した試料を分離することができなかった。このことから,魚肉の全体的な揮発性成分プロファイルは,今回の加熱条件において大きな影響を受けないことが示唆された。一方,TMAの定量の結果,血合肉において高温加熱が,これ以外の試料と比べて有意に高値を示した。TMAの臭いかぎ分析では,血合肉において全ての加熱試料および一部の未加熱試料でTMAの臭いが感知され,その強度は,加熱試料が未加熱試料と比べて有意に高い値を示した。一方,官能検査の結果,臭いの強さは肩肉,腹肉において,高温加熱が,その他の加熱試料および未処理の試料と比較して有意に大きかった。また,血合肉において,高温加熱試料は,低温,未処理の試料と比較して有意に大きかった。したがって,今回の加熱条件では,脂質酸化の進行に伴う必須脂肪酸等の減少による栄養特性の変化は小さく、また高温短時間処理することで魚肉の臭いが強くなることが示唆された。また,TMAの臭いは,血合肉の加熱によって生成され、魚の好ましくない臭いに大きく寄与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の遅れがそのまま今回の遅れにつながっており,再加熱の実験について,途中段階である。
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今後の研究の推進方策 |
遅延している項目について早急に実施し,研究協力者の数を増やすなどして実施体制を強化して事業を遂行する。このことにより,今年度中には遅れを解消できると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗がやや遅れているためである。当初予定していた執行計画に加えて,前年度に未実施の研究項目に係る経費を支出する。 また,研究成果の発表に必要な費用として使用する。
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