研究課題/領域番号 |
16K00827
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
井上 広子 東洋大学, 食環境科学部, 准教授 (60438190)
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研究分担者 |
桑野 稔子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (20213647)
鈴木 裕一 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (50091707)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 味覚 / 食生活 / 食嗜好 / 食行動 / 食習慣 / 生活習慣 / 自律神経 / 健康状態 |
研究実績の概要 |
食環境の変化により、素材本来の味を味わう機会が減少していることから、現代人は味覚感受性が低下していることが危惧されている。自身の味覚の認知能力や感受性を認知することが生活習慣病予防の観点からも極めて重要である。そこで本研究では、「脂肪味」を含む6つの味覚について詳細な官能評価試験を実施し、青年期の味覚識別能力と各味覚感受性が食行動や食嗜好を反映するか、また自律神経活動を含む健康状態との関連等について探究することを目的とし、研究を遂行した。 対象者は昨年度と同様に詳細な研究の説明を実施し、同意を得た青年期男女である。今年度は新規に48名を追加し、昨年度と併せて102名(男性28名、女性74名、21.1±0.7歳)を解析対象者とした。試験溶液は、甘味(スクロース)・塩味(塩化ナトリウム)・酸味(クエン酸)・うま味(L(+)‐グルタミン酸ナトリウム)・苦味(硫酸キニーネ・6-n-propylthiouracil)、脂肪味としてアマニ油・サラダ油の2種を用いた。官能評価試験は、VAS法とgLMS法の2種を用いた。 その結果、全ての味覚を正しく認識出来た者は約2割に留まり、約4割の者が味覚を正しく認識出来ていないことが明らかとなった。甘味の感受性は男性と比較し、女性が高いことが示唆された。また、脂肪味の感受性は、うま味の感受性と関連があることが推察された。さらに、脂肪味以外の味覚を全て正しく正解した者と1味覚以上不正解した者に分類し、各パラメータについて解析した結果、男性では正解者において体脂肪率、BMIが有意に高値を示し、体重、腹囲が高値傾向にある等の結果が得られた。 今後さらに味覚識別能力・味覚感受性と秤量法による食物摂取状況調査、自律神経活動、食生活・生活習慣等との関連について詳細に解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り倫理委員会の承認後、2年間に渡って対象者を募集し、味覚の官能評価試験等のアセスメントをしっかり行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
すべてのアセスメント項目のデータについて、解析できておらず、今後統計解析を中心に進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
唾液中のストレス関連マーカーの分析において、対象者の唾液量が予想していたより少なく、コルチゾールとアミラーゼの2種類を測定する予定であったが、検体量が少ない対象者は1項目のみになったため、分析費用が少なくなった。 また研究室の場所の関係で、遠心分離器を購入せずに他研究室のものを借用して使用したため、今年度は物品費の使用額が少なかった。次年度は、検体の分析も実施予定であるため、遠心分離機の購入を検討予定である。さらに、統計解析専用としてデスクトップ型のパソコンを購入する予定である。また、研究打ち合わせで静岡県立大学に出張と日本栄養改善学会に参加する等の旅費、論文投稿料等がかかる予定である。
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