研究課題
接触皮膚炎は、皮膚科外来患者の約2割を占めるほど頻度の高い疾病である。本研究では、そのモデルとなる接触過敏症(CHS)動物実験系を用いて、大豆を中心とした植物性食品成分のCHS抑制効果とその機序について検討を行った。1)大豆と大豆イソフラボン(SI)のCHS抑制効果について検討した。その結果、大豆摂取CHS群とSI摂取CHS群においてCHS抑制効果が観察された。DNAマイクロアレイとリアルタイムPCRを用いた遺伝子発現解析とELISAによるサイトカイン解析結果から、CCL24がCHS抑制効果に関係することを見出した。2)食生活において摂取可能なSI量におけるCHS抑制効果を検討した。実験の結果、食生活において摂取可能なSI量で、CHS抑制効果があることを示した。さらに、抗生物質を用いて腸内細菌叢の役割を調べ、腸内細菌層が変化するとSIのCHS抑制効果は影響を受けることを示した。3)摂取量を変えて大豆サポニン(SS)の効果について検討した。SSについて、1日に摂取可能な量に相当する量、その5倍の量をマウスに与えた。前者ではCHS抑制効果が観察されたが、後者ではCHS抑制効果が低下していた。さらに、抗生物質を用いて腸内細菌叢の役割を調べたところ、抗生物質によりSSのCHS抑制効果が消失し、制御性T細胞も低下することが示された。4)大豆食品として豆乳を選び、豆乳のCHS抑制効果について検討した。その結果、豆乳にはCHS抑制効果があること、CHSによる腸内細菌叢の変化を抑制することが示された。以上の研究結果から、大豆食品を食生活に取り入れることで、接触皮膚炎の予防効果が期待できる。
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