研究課題/領域番号 |
16K00843
|
研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
新井 博文 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70295848)
|
研究分担者 |
福永 健治 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (30278634)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ハマナス / ポリフェノール / テリマグランジン / 活性酸素 / 酸化ストレス / 低密度リポタンパク質 / アテローム性動脈硬化症 / 動物実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アテローム性動脈硬化症に関与する生体酸化ストレスに対するハマナス花弁ポリフェノールの効果をin vitroおよびin vivoで明らかにすることである。平成28年度は、ハマナス花弁ポリフェノールの単離・精製を行うとともに、アテローム性動脈硬化症の一原因である低密度リポタンパク質(LDL)の脂質過酸化反応に対するハマナス花弁ポリフェノールの効果について調べた。 1)ハマナス花弁ポリフェノールの単離・精製:主要分子であるテリマグランジンⅠを単離・精製した。 2)ハマナス花弁ポリフェノールよるLDLの脂質過酸化抑制作用:健常人ボランティアからヒト血清を採取し、超遠心分離法によってLDLを分離した後、限外ろ過等によって精製した。LDLの脂質過酸化に対するテリマグランジンⅠの効果を調べるため、in vitro実験を行った。すなわち、テリマグランジンⅠの存在下でLDLを活性酸素種である水溶性ラジカル発生試薬(AAPH)および遷移金属イオン(Cu2+)と37℃、pH 7.4でインキュベートし、LDLの酸化を誘導した。脂質過酸化の指標として、生成するコレステロールエステルヒドロペルオキシドをHPLC/UVで、チオバルビツール酸反応性物質をHPLC/蛍光で測定した。その結果、テリマグランジンⅠは濃度依存的かつ有意にAAPHおよびCu2+によるコレステロールエステルヒドロペルオキシドおよびチオバルビツール酸反応性物質の生成を抑制した。これらの結果より、テリマグランジンⅠは、活性酸素種によるLDLの脂質過酸化の抑制に有効であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の当初計画における目標は、ハマナス花弁ポリフェノールの単離およびハマナス花弁ポリフェノールによるLDL酸化抑制効果の評価(前半)であり、達成度は概ね順調であると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、ハマナス花弁ポリフェノールによるLDL酸化抑制効果の評価(後半)として、ROSによるLDLアポリポタンパク質の酸化修飾に対するハマナス花弁ポリフェノールの効果を検討するとともに、マクロファージによる酸化LDLの貪食に対するハマナス花弁ポリフェノールの効果について調べる方針である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
LDL調製および機器分析における消耗試薬・器具等のコストを工夫して節約できたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
マクロファージの顕微鏡観察に必要な蛍光試薬等の購入に充てる予定である。
|