研究課題/領域番号 |
16K00861
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤井 裕樹 九州大学, 医学研究院, 助教 (50623063)
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研究分担者 |
岩瀬 正典 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00203381)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 疫学研究 / 栄養素 |
研究実績の概要 |
福岡県内の糖尿病を専門とする医療機関16施設に平成20年から22年にかけて通院中の糖尿病患者5131人について、食事、運動、メンタルヘルス、検査値、治療を含む臨床情報ならびに血液、尿、DNAを収集し、登録を終了、コホート集団とした。登録患者の治療状況や合併症(脳心血管障害、腎機能、網膜症、足病変、重症低血糖、骨折、癌、死亡など)について医師が直接カルテや画像診断などを閲覧し、高い精度で追跡を継続している。平成28年度はこのコホート集団のイベント発症や各データ収集を含めた追跡の精度を高めること、また追跡の延長作業を行った。 本年度の論文発表は、①2型糖尿病男性において喫煙用量の増加とともにCKD(慢性腎臓病)の頻度が増加し、禁煙後には低下すること(Hypertens Res. 2016 Oct;39(10):744-751)、②クレアチニンを用いたeGFR(推算糸球体ろ過量)よりシスタチンCを用いて計算したeGFRの方が強く2型糖尿病日本人の総死亡と関連すること(Clin Exp Nephrol. 2016 Jun 23)ことを報告した。 また、理化学研究所との共同研究により糖尿病と関連する遺伝子多型(SNP)を解析しており、今後のテーラーメイド医療への応用に向けて検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コホート研究の追跡調査は5年を過ぎているが、追跡率は90%以上を維持している。また、遺伝子解析も予定通り行われている。断面調査データを用いた研究成果は、論文発表、学会発表を順次行っており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様に断面調査解析及び追跡調査を行う。追跡不明者を可能な限り減らすよう努力する。データベースの構築を進め、データの整合性や欠損値の確認を行う。 本コホート研究(前向きゲノムコホート研究)に収集されたデータを用いて、わが国の糖尿病患者に対するより効果的な治療(テーラーメード治療)を目指して解析を行う。各種栄養素摂取状況と各種イベント(血管合併症、悪性腫瘍、骨折など)との関連について、SAS統計解析ソフトを用いて解析する。さらに、遺伝子との相互作用についてSNPとの関連を検討し、栄養-遺伝子相互作用を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の追跡作業は順調に進行しているが、電子化作業が遅れたため、予算の執行が遅れた。今後早期に、追跡調査の電子化作業を行って、データセットを整備し、解析を行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
すべての評価項目について可能な限り追跡データの収集を進め精度を高める。また、公開セミナーや報告書などで成果の公開を行う。主なデータ解析は、遺伝因子(SNP)と環境因子の相互関連および追跡調査データの解析を行う。
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