研究課題/領域番号 |
16K00862
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
四童子 好廣 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00111518)
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研究分担者 |
岡本 恭子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 助教 (40714853)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | MAOB / MAOA / knockdown / knockout / tranylcypromine / farnesol |
研究実績の概要 |
GGA生合成経路の鍵酵素MAOBの発現調節機構の解析として以下の2点を行った。 1)MAOB遺伝子発現抑制によるGGA生合成への影響: HuH-7細胞には内因性のMAOB遺伝子の発現があることを既に確認している。本研究計画では、MAOBがGGA生合成の責任酵素であるという仮説のもとに実験を行なっている。そこで、MAOB siRNAの導入にによるMAOB遺伝子のknockdownを行い、細胞内のGGA濃度に変動があるかを、UPLC/tandem Q-MS法により解析した。その結果、MAOB siRNAを導入すると、72時間後にはMAOB mRNAは有意に減少し、同時に細胞内GGA濃度もおよそ3分の1程度に減少した。 現在、CRISPR-Cas9システムを用いたDNA editingにより、HuH-7細胞のMAOB遺伝子のknockoutを行い、MAOB遺伝子欠損株HuH-7(MAOB-/-)、さらに、HuH-7(MAOB-/-)細胞に外来のMAOB遺伝子を導入することによりGGA代謝の変異がレスキューされるかどうかを実験中である。現在のところ、欠損細胞を入手できていない。 2) MAOB遺伝子の発現制御と細胞死誘導におけるGGA感受性の変化:抗うつ剤のtranylcypramineやタバコの煙に含まれるfarnesolなどのMAOB酵素の低分子阻害剤の使用により、GGAの細胞死誘導活性は、内因性GGAが減少する分だけ低くなるものと予想していたが、想定外に高くなった。tranylcypromineやfarnesol自体の細胞毒性を考慮して再度実験を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)昨年度中にMAOB knockout細胞をクローン化する予定であったが、CRSPR/CAS9系の構築に時間を要し、未だに初期の細胞が得られていない。 2)MAOB阻害剤により内因性GGAの含量が減少するものとして実験を行なっていたが、現在のところ、有意の減少を示す結果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度の研究計画が当初の計画通りに進んでいないところがあるが、MAOB遺伝子のknockdownにより内因性GGA濃度が減少することを観察しているので、MAOB遺伝子の発現がGGAの生合成に何らかの関与をしていることに関してはこれまで以上のエビデンスが得られた。したがって、当初の計画のMAOB遺伝子knockout細胞の作製に全力を尽くし、困難を突破する計画である。具体的には、市販のCRSPR/CAS9システムを入手し、クローンの作製を試みる方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、CRSPR/CAS9のベクターのみ購入し、自前でMAOB遺伝子knockoutのための組換えDNAを構築する予定であったが、予定通りに作成することができなかった。それまで市販されていなかったが、2017年からMAOB用のシステムが市販されるようになったので、次年度に市販のMAOB遺伝子用のCRSPR/CAS9システムを購入することを想定し、その実験にかかる費用を次年度に残すことにした。
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