研究課題
高コレステロール血症は主要死因の1つである動脈硬化性疾患のリスクを高める。慢性的に進行するリスクを低減するため、生活習慣、特に食生活による高脂血症改善は重要な介入である。植物ステロールはコレステロール吸収を抑制し、高コレステロール血症を改善する食品成分として古くから知られている。しかしながらその作用機序は不明のままである。植物ステロールによる食事性コレステロール吸収抑制機序の解明を目的として、腸上皮培養細胞Caco-2 ならびにマウスを実験モデルとして検討を行った。Niemann-Pick C1-like 1 (NPC1L1)阻害薬エゼチミブが植物ステロールと類似した吸収阻止活性を示す事から、我々は事前にこの薬物の阻害機序について検討したところ、NPC1L1阻害は形質膜内のコレステロール排出を促進することを見出した。植物ステロールに同様の活性があることを、マウス腸管灌流法により確認した。このことから植物ステロールのコレステロール吸収阻害効果は、この排出促進に起因することを示した。またこの排出促進効果は疎水性の高い植物ステロール種ほど強くなり、機能性食品として利用されてる植物スタノールの有用な効果を示唆した。腸管からのコレステロール排出がその吸収抑制につながることを我々は体系的に論述し、総説として報告した。またその中で植物ステロールがどのようにコレステロール吸収を阻害するかを論理的に説明した。上記内容を原著論文2報(うち1報は2016年)、総説1報にまとめ報告した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Nutrients
巻: 11 ページ: 310-317
doi: 10.3390/nu11020310
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
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