研究課題/領域番号 |
16K00865
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
福島 真実 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (30286885)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 葉酸 / 葉酸強化食品 / 遺伝子多型 / ホモシステイン / テーラーメイド栄養指導 / folate / folic acid |
研究実績の概要 |
穀類への葉酸強化政策は、すでに世界80か国以上で実施されており、胎児の神経管閉鎖障害(NTDs)発症率の低下や、脳卒中による死亡率の低下、ある種のがんや認知症予防に効果をあげている。その一方で葉酸過剰摂取による影響が懸念されており、体内での葉酸未代謝物の生理作用が注目されている。 これまでに我々が実施している「さかど葉酸プロジェクト」遺伝子多型に基づいたテーラーメイド栄養指導における葉酸栄養状態の改善には、遺伝子告知効果が高いことを報告している。また血中指標の改善はみられる一方、食事性葉酸の摂取量は、目標量400μg/日に達することは難しく、葉酸を強化した葉酸米の使用が増えている。そこで、葉酸強化食品の利用頻度と血中葉酸値およびtHcy値の変化の関連を遺伝子多型別に比較し、葉酸強化食品の有用性を検討した。 対象者は2013~2016年実施の「さかど葉酸プロジェクト」の参加者で、栄養指導前後のデータが揃った489名とした。葉酸強化食品等の利用状況は、質問紙を作成し調査した。葉酸強化食品等を利用する者は、栄養指導前145名(29.7%)から指導後338名(69.1%)に増加し、そのうち毎日1回以上利用していた者は利用者の47.3%に相当した。最も利用率がたかい食品は葉酸米(71.9%)であった。強化食品の使用頻度と介入後の血清葉酸値、Hcy値をMTHFR遺伝子多型別に検討した結果、毎日1回以上使用している群では、TT型においても目標値に到達した。したがって、習慣的に食事から葉酸400µg/日を摂取することは容易でなく、特にTT型において葉酸強化食品等の利用が葉酸栄養状態を良好に保つためには有用であるとことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「さかど葉酸プロジェクト」食と健康のプランニングセミナー受講者を対象とした血液および検査値、食事調査、アンケートなどのデータ収集は予定どおり進んでいる。計画している血中の葉酸分子種測定においては、機器の整備に手間どっており、HPLC法による測定条件検討が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画にしたがい、今年度も引き続き食とプランニングセミナー参加者を対象として、血液試料、食事調査等のデータ収集をおこなう。 血中葉酸測定は、マイクロバイオアッセイにてまず実施する。次にHPLC装置は新機種の使用も視野にいれながら稼働できるよう整備し、葉酸分子種の分別定量の条件検討をおこなう。 葉酸強化食品摂取の使用状況は摂取頻度から葉酸摂取量を数値として算出することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の予算執行ができなかったのは、HPLCシステムのECD電極の購入にあたり、取扱いメーカーが変わっており型番変更がされていたため、問い合わせに時間がかかり、本年度の購入に至らなかったためである。また使用予定の機器の不具合により、使用期限のある試薬キットの購入を控えた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究遂行にあたり必要な機器であるため、来年度の購入手続きを迅速に進める予定である。
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