研究課題/領域番号 |
16K00865
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
福島 真実 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (30286885)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 葉酸 / 葉酸強化食品 / 遺伝子多型 / テーラーメイド栄養指導 / folate / folic aid / ホモシステイン / 赤血球葉酸 |
研究実績の概要 |
葉酸摂取不足により、胎児の神経管閉鎖障害(NTDs)のリスクが高まることが明らかにされ、その予防のために1998年よりアメリカ、カナダで穀類への葉酸強化政策の実施が始まった。現在では、世界80か国以上で葉酸強化が実施されており、NTDs発症率が低下した。さらに脳卒中による死亡率や、ある種のがんや認知症リスクの低下も報告されている。その一方で、葉酸強化の義務により特定の対象者ではなく、すべての人を対象として葉酸摂取量が増加することで、過剰摂取による影響が懸念されており、体内での葉酸未代謝物の生理作用が注目されるようになってきた。 これまでに我々が実施している葉酸関連の遺伝子多型に基づいたテーラーメイド栄養指導「さかど葉酸プロジェクト」では、葉酸栄養状態の改善において遺伝子告知効果が高いことを報告した。今年度も継続して実施しているが、これまでと同様に血中指標である血清葉酸値およびホモシステイン値の改善はみられる一方で、食事性葉酸摂取量を目標量400μg/日に達することは難しいことが示された。葉酸強化食品の利用は指導前からの利用率が以前より増加傾向であった。葉酸強化食品の種類、利用頻度や量と食事のパターンや摂取食品との関連性について検討を行っている。中長期間の葉酸栄養状態を示す赤血球葉酸濃度測定も引き続き実施した。血中葉酸動態の測定はまだ進んでいないが、葉酸分子種の分別定量とともに、葉酸強化食品利用と葉酸未代謝物の動態を検討も行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していた研究時間が急遽担当することになった講義のため、相当量減少せざるを得なくなった。よってこれまでに蓄積しているデータ解析、および血中葉酸濃度測定の進行に大幅な遅れが生じた。そのため、研究期間を延期して実施する。
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今後の研究の推進方策 |
1.葉酸強化食品の利用が血中指標へ及ぼす影響を遺伝子多型別に明らかにする。 2.赤血球葉酸濃度の測定を実施する。検体のストックと測定準備は完了している。具体的にはマイクロバイオアッセイによる測定をして、自動分析法での値との相関を確認する。さらに多型による分子種の違いや未消化体葉酸について検討を進めるが、HPLC法が困難な場合は、未消化体葉酸であるプテロイルモノグルタミン酸の検出方法を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究時間が大幅に減少したため、計画通りの予算執行ができなかった。研究推進に必要な物品購入、研究補助のための人件費、論文作成に使用する計画である。
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