研究課題
虚血性心疾患では心筋内脂肪酸代謝が低下し、また脂肪酸代謝低下と心室壁運動低下は関連する。本研究の目的は、虚血性心疾患における虚血再還流療法と心筋脂肪酸代謝との関連を、新たな非侵襲的心筋内中性脂肪測定法である1H-magnetic resonance spectroscopy(MRS)法を用いて検討。さらには、食事、脂肪酸摂取による心筋内中性脂肪量への影響を基礎的・臨床的に検証し、脂肪酸代謝が低下した虚血心筋に対する食事プログラムを含む有効な介入方法を確立、新たなかつ効果的な治療法の開発に繋げることである。本年度は、引き続き冠動脈疾患にて経皮的冠動脈形成術を施行した患者のデータベース作成、血液検体の解析、MRSによる測定を辞している。これらの症例を検討、特に慢性完全閉塞症例に対する血行再建術施行前後における解析を施行、虚血再灌流と心筋脂肪酸代謝との関連を明らかにする。また後負荷による左室拡張末期圧増大と心筋脂肪酸代謝の関連を検討するために大動脈弁狭窄症に対する経皮的大動脈弁置換術前後のでの解析を行い、これらの研究の途中結果について海外学会で発表を行っている(Euro CMR 2017, CMR 2018)。さらに、近年注目されている中性脂肪蓄積心筋症に対するMRS法による心筋内修正脂肪測定、治療介入による影響について測定を施行している。動物実験に関しては心筋梗塞モデルマウスを用いて、虚血再韓流障害と心筋内中性脂肪量との関連を検討している。
3: やや遅れている
冠動脈疾患を含む心疾患における心筋内中性脂肪量測定は順調である。大動脈弁狭窄症、中性脂肪蓄積型心筋症に対するMRS法による検討も開始している。しかしながら動物実験に関しては担当者の異動に伴い遅れが生じている。
臨床研究に関しては、予定通り心疾患患者における心筋内中性脂肪測定を継続、解析していく。当初の予定では虚血再灌流療法による心筋内脂肪酸代謝に絞って検討していたが、現在は後負荷の増減による影響についても検討している。動物実験に関しては、これまでの遅れを取り戻すためにスタッフの増員を考慮している。
(理由)当該年度に関しては、当初科研費から支出する予定であった物品、消耗品に関して既存の物品の流用が可能であったこと等から、その額の相当する繰越し金が発生した。(使用計画)物品費、人件費に関しては主にデータベース作成補助者に対する人件費に使用する予定である。旅費に関しては国内外学会参加費用に当てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件)
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