研究課題/領域番号 |
16K00872
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
目崎 喜弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40431621)
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研究分担者 |
松浦 知和 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30199749)
岩本 武夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90568891)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビタミンA / 肝臓 / 星細胞 / 北極圏 / 放射能 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでに、ビタミンA貯蔵細胞である肝星細胞の単離および実験系の確立(2016年度)、肝星細胞における既知のビタミンA取り込み・貯蔵関連因子であるレシチン:レチノールアシル基転移酵素(LRAT)の大量発現系と活性測定系の構築(2017年度)、構築したLRAT活性測定系のホッキョクグマ肝臓ミクロソーム画分への応用(2018年度)などの成果を上げてきた。特に2018年のホッキョクグマ肝臓ミクロソーム画分のLRAT酵素活性の測定は、新鮮なホッキョクグマの肝臓を凍結したまま日本へと輸送することで達成された成果であり、ノルウェーのオスロ大学との長年にわたる共同研究が不可欠であった。このノルウェーとの共同研究チャネルを活用し、2011年3月11日の福島第一原発事故を受けて、北極圏にあるノルウェー領スヴァールバル諸島よりさまざまな北極圏生物を取得して、セシウム134およびセシウム137の放射能を測定した。その結果、明確に福島由来と判断できる放射能は観測されなかったが、いくつかの植物・地衣類・菌類において、1986年のチェルノブイリ原発事故もしくは1950年代から1960年代にかけて行われた核兵器実験由来と考えられる微量のセシウム137放射能を観測した。2019年度には、これらの観測結果を原著論文にまとめ、Heliyon誌に報告した。今後、福島原発由来の放射能が海流を経由して北極圏に到達する可能性もあることから、今回の測定結果は北極圏における長期的な放射能モニタリングの参照値(reference)として寄与するのではないかと考えている。
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