研究課題
シイタケのフレーバー成分は,フレーバー前駆体であるレンチニン酸(LA)に,酵素γ-グルタミルトランスフェラーゼとC-Sリアーゼが作用して,デスグルタミルレンチニン酸(DGLA)を経て生成するレンチオニン等の環状硫黄化合物である。含硫フレーバー成分としては,ニンニクのジアリルジスルフィドやジアリルトリスルフィド等が知られているが,これらのスルフィド類は,フレーバー前駆体であるS-allyl-L-cysteine sulfoxide (ACSO)に,酵素C-Sリアーゼが作用して生成する。当研究室では,経口摂取したACSOが,生体内で代謝活性化し,様々な生理作用を示すことを既に明らかにしている。シイタケのフレーバー前駆体であるLAおよびDGLAは,ACSOと構造が類似していることから,これらも,ACSOと同様の生理活性を有することが期待できる。平成28年度は,シイタケ抽出物中のアミノ基を有する化合物をFmoc誘導体化することにより,LAおよびDGLAの検出を行った。平成29年度は,シイタケ中からLAを単離して検量線を作成した後,シイタケの品種,栽培方法,加工方法の異なるシイタケ中のLA含量を測定した。平成30年度は,レンチニン酸を高含有するシイタケ抽出物(Shiitake-H)を調製し,Shiitake-Hの血中エタノール濃度上昇抑制作用を,レンチニン酸を含有しないシイタケ抽出物(Shiitake-N)との比較により検討した。その結果,Shiitake-Hの経口投与により,有意に血中エタノール濃度の上昇が抑制された。この作用メカニズムを検討したところ,Shiitake-Hは,胃および小腸からのエタノールの吸収を抑制すると共に,肝臓においてアルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの活性を亢進し,エタノール代謝を促進することにより,本作用を示すことが明らかとなった。
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