研究課題/領域番号 |
16K00875
|
研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
山本 浩範 仁愛大学, 人間生活学部, 教授 (60314861)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | リンセンシング / ビタミンD / CKD-MBD |
研究実績の概要 |
栄養素固有の標的遺伝子の同定およびセンシング機構の解明は、栄養素の生体作用を理解する上で必須であり、健康の維持、疾病の診断や治療、予防を考える上で重要である。本研究では、ヒト、動物、細胞を用いたオミックス解析による新たなリン・ビタミンDセンシング機構の解明を行い、疾患特異的タンパクおよび時間栄養を考慮したCKD-MBD発症・進展の診断・予防法の開発と確立、国民の健康寿命の延長への寄与をめざすことを目的とした。1)透析患者、疾患動物を用いたリン感受性遺伝子群の発現変動と制御因子の同定を目的とした。 本研究では、CKD-MBD合併に至らしめる腎不全の病態およびリン・ビタミンDセンシング機構の解明として食事性リンの遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。食事性リン(1.5%, 1.2%, 0.6%, 0.2%)を与えたマウス腎臓および小腸、肝臓、骨、血管より全RNAを抽出し、腎臓のサンプルを用いマイクロアレイ解析およびGene Ontology解析を行った。その結果、腎臓におけるリン感受性遺伝子群としてKlotho、ビタミンD代謝酵素、解毒代謝関連遺伝子、時計遺伝子の発現変動が明らかになった。興味深いことに、時計遺伝子のCLOCK/BMAL1によりリン輸送担体遺伝子のNpt2bやビタミンD代謝酵素遺伝子が調節される可能性も見出した。さらに、細胞内リンのトラフィッキングに関与するリン輸送担体遺伝子も食事性リンで変動することから、細胞内リンの挙動の変動が示唆された。今後、さらに細胞を用いてリン感受性遺伝子群の発現変動と制御因子の同定を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロアレイ解析を行うための動物モデルからのサンプルの作成に関してはおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、リン感受性遺伝子として同定した遺伝子群の発現調節の解析を行う予定であり、時計遺伝子による腸管リン輸送担体Npt2b、ビタミンD代謝酵素(CYP27b1、CYP24a1)の発現調節機構の解明としてNpt2b,CYP27b1およびCYP24a1遺伝子の転写活性化に及ぼすClock, BMAL1, DBP, RORなどの時計遺伝子の影響をルシフェラーゼ法、ゲルシフト法、ChiP法を用いて明らかにすることを予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当社予定していた、ヒト試験について本年度は共同研究先とのスケジュール調整が進まず人件費・謝金の項目での使用が今年度は必要でなくなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については高額なものではないため、次年度の計画に従って研究を遂行する。
|