研究課題/領域番号 |
16K00876
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
宮澤 大介 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (70434553)
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研究分担者 |
大西 浩之 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90523316)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多価不飽和脂肪酸 / 細胞死 |
研究実績の概要 |
高齢化社会を迎える日本において健康寿命を延ばすことは重要な課題である。ヒトの栄養について多価不飽和脂肪酸と脳機能の観点から考察し、認知症をはじめとする脳機能の低下を抑制することに寄与することを目的とした。 神経系株化細胞(NG108-15)に無血清で脂肪酸を添加し、細胞の生存について検討した。デキサメタゾン(DEX)、dibutyryl-cAMP(dbcAMP)による分化誘導条件下においてはアラキドン酸(10 μM)に比べてドコサヘキサエン酸(DHA)(10 μM)で細胞死に対する抑制効果が観察された。ただし、DEX、dbcAMP非存在下では両脂肪酸間に有意な差は見られなかった。また50 μMのアラキドン酸、DHA添加では細胞の生存が低下した。 細胞の脂肪酸組成についてガスクロマトグラフを用いて検討した。未分化、分化条件ともに添加した脂肪酸が有意に増加しており、細胞の脂肪酸組成が変化していることが明らかとなった。 Stress-activated protein kinase/Jun-amino-terminal kinase(SAPK/JNK)のリン酸化について検討したところ、DEX、dbcAMPの分化誘導刺激によって、リン酸化が亢進した。しかし、脂肪酸の添加の有無や種類によるリン酸化の差は見られなかった。 Protein kinase A(PKA)、protein kinase C(PKC)の活性について検討した。DEX、dbcAMPの分化誘導刺激によって、活性が上昇した。しかし、脂肪酸の添加の有無や種類による活性の差は見られなかった。 神経系細胞にfat-1遺伝子を発現させ、DHA等を添加しなくてもn-3系脂肪酸の増加する条件について計画を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経系株化細胞にアミロイドβと脂肪酸の関係について作業仮説に基づく結果が得られず、更なる条件の検討を進めている。 また細胞にfat-1遺伝子を発現させ、DHA等を添加しなくてもn-3系脂肪酸量の増加する条件について計画を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
PKA、PKCの活性化に関連する因子について脂肪酸の影響を受けているか検討したい。また、カテコールアミン産生に関与する酵素の発現量についても検討したい。 神経系細胞にfat-1遺伝子を発現させ、n-3系脂肪酸の増加する条件について計画を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 脂肪酸添加時のBSA、血清の有無と濃度の条件検討に時間を要した。fat-1遺伝子導入に関する計画について検討を要している。 (使用計画) 細胞死以外に、脂肪酸が分化に及ぼす影響を検討する。そのために必要な試薬の購入費用に充てる。
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