研究課題
多価不飽和脂肪酸は脳神経系において神経保護、神経新生に効果を有することが示されてきた。一方、高齢化社会において健康寿命の延長は重要な課題である。多価不飽和脂肪酸と脳機能の観点から考察し、認知症をはじめとする脳機能の低下を抑制することに寄与することを目的とした。神経系株化細胞(NG108-15)に1%血清条件下で、10~100 μMの脂肪酸を添加し、1~5日後の細胞の生存について検討した。デキサメタゾン(DEX)、dibutyryl-cAMP(dbcAMP)による分化条件下、DEX、dbcAMP非存在下ともに脂肪酸非添加群に比べて100 μM アラキドン酸(AA)、100 μM ドコサヘキサエン酸(DHA)では細胞の生存が抑えられる傾向が観察された。アミロイドβ(Aβ)がNG108-15細胞の細胞死を誘導する条件について1.25~20 μM Aβを添加後、1~5日後の細胞の生存について検討した。1日後から1.25 μMの濃度で細胞の生存が低下することが観察された。脂肪酸処理1日後、Aβを添加した。Aβ添加1~5日後の細胞の生存について検討した。脂肪酸濃度は10 μM、Aβ濃度を0.5 μMで実施した。Aβ添加2~3日後に脂肪酸添加群で細胞の生存が上昇する傾向が観察された。しかし、Aβ添加5日後には、脂肪酸添加群で細胞の生存を抑えられるという逆の傾向を示し、日数によって結果が変わる可能性が示唆された。
3: やや遅れている
神経系株化細胞について脂肪酸添加の条件とアミロイドβの添加の条件の複数の組み合わせを行い作業仮説に基づく場合と異なる場合があり、その時の違いについて更なる検討を進めている。
アミロイドβの毒性に対して効果の見られる脂肪酸濃度の条件で細胞死、細胞周期に関連するのシグナルについてウエスタンブロットで確認をしたい。カテコールアミン産生に関与する酵素の発現量についても確認をした。
神経系株化細胞について脂肪酸添加の条件とアミロイドβの添加の条件の複数の組み合わせを行い作業仮説に基づく場合と異なる場合があり時間を要している。その時の違いについて更なる検討を進めている。
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Anticancer Res.
巻: 38 ページ: 2643-2648