研究課題
高齢化社会を迎える現代において認知症は重要な問題である。ドコサヘキサエン酸(DHA)をはじめとする多価不飽和脂肪酸は、脳神経系において神経新生、神経保護をはじめとする様々な機能を有することが示されてきた。食生活から認知症の予防に寄与できるかを考察することを目的とした。神経系株化細胞(NG108-15細胞)に1%血清条件下でデキサメタゾン(DEX)、dibutyryl-cAMP(dbcAMP)非存在下、DEX、dbcAMPによる分化条件下、分化条件下+20 μM DHA存在下でシナプス小胞形成に関する因子について発現解析を行った。シナプス小胞は、神経伝達物質等を取り込み、シナプス間隙へ神経伝達物質等の放出を制御している。これらの発現や制御が様々な脳機能の制御や疾患との関わりが種々報告されている。シナプス小胞形成に関する因子の発現量について多価不飽和脂肪酸、特にDHAが影響を及ぼすのか検討した。まずDHA添加により細胞の脂肪酸組成が変化を受けるのか検討した。DHAを添加することにより、有意にDHAの増加が見られた。シナプス小胞膜タンパク質であるSynaptophysinはシナプスのマーカーとしてシナプスの密度や神経細胞数の指標として用いられている。Synaptophysinは分化5日目で未分化に比べて発現上昇が見られたが、これは分化+DHAで抑制傾向にあった。これは、細胞の分化日数を経時的に調べる必要があるかもしれない。小胞グルタミン酸トランスポーター(VGLUT1,2)の発現量を調べた。VGLUT1は分化5日目、6日目とも群間に顕著な差は見られなかった。一方、VGLUT2は分化6日目で未分化に対して分化条件下で上昇傾向が観察され、分化+DHAで未分化に対して有意に発現上昇が観察された。
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