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2016 年度 実施状況報告書

非肥満型非アルコール性脂肪性肝炎における胆汁酸の影響

研究課題

研究課題/領域番号 16K00877
研究機関金城学院大学

研究代表者

北森 一哉  金城学院大学, 生活環境学部, 准教授 (80387597)

研究分担者 那須 民江  中部大学, 生命健康科学部, 教授 (10020794)
佐藤 秀一  島根大学, 医学部, 准教授 (10332785)
飛田 博史  島根大学, 医学部, 助教 (60457190)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードNASH / 胆汁酸 / 線維化
研究実績の概要

我々はこれまで、高脂肪・高コレステロール(HFC)飼料で肝臓脂肪蓄積・肝炎・線維化へと進展する非肥満型非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルSHRSP5/Dmcrを開発してきた。ヒトNASH患者と同じく高脂肪・高コレステロール(HFC)飼料の摂取により、重篤な肝線維化を引き起こすがHFC飼料に添加されている成分の何が直接の原因か明らかにされていなかった。これまで、脂質の吸収を促進する目的で添加されている「胆汁酸」のNASH病態への影響は検討していない。そこで、今回の研究は、非肥満NASHにおける胆汁酸の影響を検討することを目的とした。
動物は、SHRSP5/Dmcr雄性10週齢を使用し、高脂肪・高コレステロール(HFC)の胆汁酸(CA)濃度が異なる飼料4種、計4群(各6匹)に分ける。①CA0%、②CA0.5%、③CA2%、④CA4%。摂餌期間は8週間とした。体重、血圧は隔週で計測した。肝臓重量、一般血液生化学項目は摂餌後8週間目に測定した。肝臓の病理所見は脂質沈着、 炎症と線維化を検討するため、それぞれヘマトキシリンエオジンとアザンで染色した。
体重は、CA濃度が高くなるほど低値を示した。血圧は、CA4%群が他の3群に比較し有意な低値を示したが、CA0%、0.5%、2%群の間にそれぞれ有意な差は認められなかった。肝臓重量は、CA4%群を除き、CA濃度が高くなるほど高値を示した。血清総コレステロールとγ-GTPは、CA4%群が他の3群に比較し有意な高値を示した。ASTとALTは、CA0%群に比較しCA0.5%、2%、4%群がそれぞれ有意な高値を示した。肝臓の形態変化は、CA濃度が高くなるほど肝臓の白色化と硬化の進行が認められた。組織学的には、肝臓への脂質沈着、炎症、線維化が認められ、CA濃度が高くなるほど大滴性脂肪、線維化の進行が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回の研究では、SHRSP5/DmcrのNASH病変に対して、餌の含有成分である胆汁酸が影響を与えているかを検討する。
3年計画の1年目である今年度は、胆汁酸の一種であるコール酸濃度の異なる餌を調整した。調整した餌を、対象動物に与えて各サンプルを取得し、今後の解析の下準備を行った。各群対象動物の摂餌中の状態は、体重と血圧を定期的にモニタリングすることにより確認した。取得したサンプルを組織学的に評価するため、肝臓の組織標本を作製後、脂肪沈着・炎症はヘマトキシリン・エオジンで、線維化はアザンでそれぞれ染色し、観察した。これらの結果から、食事性胆汁酸濃度が増えると肝障害が重症化することを明らかにした。しかし、これらを数値化して評価するには至らなかった。また、食事性胆汁酸の受容体を介した病態への影響は、褐色脂肪細胞の受容体G protein-coupled receptor(TGR5)の免疫染色が難航し、結果を出すまでには至らなかった。

今後の研究の推進方策

脂肪沈着・炎症はヘマトキシリン・エオジンで、線維化はアザンでそれぞれ染色した組織標本について、数値で評価するためスコア化を進める。
また、食事性胆汁酸の受容体を介した病態への影響を明らかにする。そのため、褐色脂肪細胞の受容体(TGR5)を介する影響を明らかにする。ミトコンドリアが活性化し、エネルギー消費量が増加することで抗肥満作用を示す報告がある。そこで、食事性胆汁酸濃度がNASHにおける非肥満作用に関係するか明らかにする。
また、腸管の受容体(TGR5)を介する影響を明らかにする。腸管内L細胞表面に存在するTGR5を介してインクレチンの一種であるGlucagon-like peptide 1(GLP-1)が分泌され、インスリン感受性上昇及び血中グルコース濃度低下により抗インスリン抵抗性作用を示す報告がある。そこで、食事性胆汁酸濃度が血中GLP1・インスリン・グルコース濃度に与える影響を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

2年目以降の計画の準備として1年目に使用する予定であった分の一部が、2年目の使用にずれ込んだ。今年度の計画のうち免疫染色がうまく染まらず、予定通りのスケジュールで進めることができなかった。そのため、全体的に少し遅れ気味となり、一部が次年度に回ることとなった。

次年度使用額の使用計画

血中成分の分析に必要なキットを購入し、成分測定を実施する。血中の結果と少し遅れている、免疫染色の結果を合わせて胆汁酸の抗肥満効果を評価する計画である。

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公開日: 2018-01-16  

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