研究課題
細胞老化(Cellular Senescence)、とりわけ炎症性サイトカインなどの液性因子を分泌する細胞老化付随分泌現象(Senescence-associated secretory phenotype:SASP)は、がん化、動脈硬化症など種々の老年性疾患や個体老化との関連が示唆されている。老化細胞 より分泌されたSASP因子は、がん細胞の増殖 を促進しがん進展、炎症性サイトカインなどを介して慢性炎症応答を惹起し、高齢者特有 の瀰漫性慢性炎症の原因となる可能性および組織幹細胞の機能不全を 誘導し組織恒常性が低下する原因となると考えられる。このよう な観点からSASPの制御はがんをはじめとする老年性疾患の予防・治療のターゲットとなる。し かしながらSASPは生理的機能および損傷 治癒などにおいても重要な機能を果たしていることから、SASP制御のバランスが重要である。これまでRapamycinがSASP を著しく抑制 することが報告されているが、Rapamycinは強力な免疫抑制剤であるので人への適応は困難である。一方食品は種々の生理活性因子を 含んでいる とともに、過度な抑制・活性化作用を呈しない点において、SASP制御を介入する上で有用であると考えられる。そこで本研 究では、SASP獲得の分子メカニズム を明らかするとともに、SASP因子発現を抑制する食品由来生理活性分子の探索を行うことを目的として進めている。 スイカなどに豊富に含まれるカロテノイドは、細胞老化誘導時に添加すると細胞老化誘導には影響しないが、SASP因子の発現を抑制した。また、ゴシュユに含まれるアルカロイドは、老化細胞に添加することでSASP因子の発現を抑制した。
すべて 2018
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J Invest Dermatol
巻: 138 ページ: 2550-2557
10.1016/j.jid.2018.05.015