研究実績の概要 |
本申請課題では、骨代謝に影響を及ぼすABCA1, ABCB4, ABCC5に重点を置きつつ、①骨・筋肉・脂肪の質と量を制御するABC輸送体の同定, ②ABC輸送体が制御する骨・筋肉・脂肪の質と量に影響を及ぼす栄養因子の同定, ③骨・筋肉・脂肪の質と量の制御における栄養因子とABC輸送体との連関の解明を行うことを目指している。 今年度は、Abcb4遺伝子欠損マウスとAbcc5遺伝子欠損マウスを対象にして、骨・筋肉・脂肪に対するそれぞれの遺伝子の影響を評価した。骨については、マウスの後肢から脛骨, 大腿骨を採取し、骨構造と骨形態を観察・解析した。筋肉については、マウスの後肢から前脛骨筋, 腓腹筋, ヒラメ筋を採取し、体重当たりの湿重量を算出した。脂肪については、マウスの体重および飼料の摂取量、運動量を8週齢の時点から2週間毎に測定した。また、解剖時には傍子宮脂肪, 腎周囲脂肪, 鼠径部皮下脂肪, 肩胛骨間脂肪, 後腹膜脂肪, 副睾丸周囲脂肪, 腸管膜脂肪を採取し、体重当たりの湿重量を算出した。 Abcb4遺伝子欠損マウスにおいては、Abcb4遺伝子の欠損によって骨密度が上昇する可能性が見出された。また、Abcb4遺伝子の欠損によって体重が増加する傾向を見出し、その原因が肝臓の肥大に因る可能性を見出した。 Abcc5遺伝子欠損マウスにおいては、Abcc5遺伝子の欠損によって体重が減少する傾向を見出した。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、Abcb4遺伝子欠損マウスとAbcc5遺伝子欠損マウスを対象にして、骨・筋肉・脂肪に対するそれぞれの遺伝子の影響を評価する。骨については、マウスの後肢から脛骨, 大腿骨を採取し、骨構造と骨形態を観察・解析する。筋肉については、マウスの後肢から前脛骨筋, 腓腹筋, ヒラメ筋を採取し、体重当たりの湿重量を算出する。脂肪については、マウスの体重および飼料の摂取量、運動量を8週齢の時点から2週間毎に測定する。また、解剖時には傍子宮脂肪, 腎周囲脂肪, 鼠径部皮下脂肪, 肩胛骨間脂肪, 後腹膜脂肪, 副睾丸周囲脂肪, 腸管膜脂肪を採取し、体重当たりの湿重量を算出する。 Abcb4遺伝子欠損マウスにおいては、Abcb4遺伝子の欠損によって「上昇した骨密度」および「増加した体重」と「肝臓の肥大」との関係を評価する。そのために、肝臓の肥大を抑制することができるウルソデオキシコール酸含有の餌を調製して、マウスに与える。
|