研究実績の概要 |
本申請課題では、骨代謝に影響を及ぼすABCA1, ABCB4, ABCC5に重点を置きつつ、①骨・筋肉・脂肪の質と量を制御するABC輸送体の同定, ②ABC輸送体が制御する骨・筋肉・脂肪の質と量に影響を及ぼす栄養因子の同定, ③骨・筋肉・脂肪の質と量の制御における栄養因子とABC輸送体との連関の解明を行うことを目指した。そのために、本申請課題では、6, 12, 24, 48週齢のAbcb4遺伝子欠損マウスを対象にして、骨・筋肉・脂肪に対するAbcb4遺伝子の影響を評価した。骨については、マウスの後肢から脛骨および大腿骨を採取し、大腿骨を対象にして、長さおよび骨構造、骨形態を観察・解析した。筋肉については、マウスの後肢から前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋を採取し、体重当たりの湿重量を算出した。脂肪については、傍子宮脂肪、腎周囲脂肪、鼠径部皮下脂肪、肩胛骨間脂肪、後腹膜脂肪、副睾丸周囲脂肪、腸管膜脂肪を採取し、体重当たりの湿重量を算出した。また、飼料の摂取量および体重の変化も8週齢の時点から2週間毎に測定した。 以上の実験を行った結果、Abcb4遺伝子欠損マウスの性別を問わず、12週齢までは、Abcb4遺伝子の欠損によって骨体積と骨塩量が有意に増加し、一方で骨密度が低下することを見出した。また、Abcc5遺伝子欠損マウスについては、性別を問わず、6, 12, 24, 48週齢全ての時点において、Abcc5遺伝子の欠損によって体重が減少することを見出した。また、メスマウスにおいては、Abcc5遺伝子の欠損によって骨体積と骨塩量が低下することを見出した。
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