研究課題/領域番号 |
16K00880
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
田辺 賢一 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (60585727)
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研究分担者 |
奥 恒行 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 客員教授 (50010096)
中村 禎子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60382438)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 難消化性糖質 / 定量法 / 食品分析 / 食物繊維 / レジスタントスターチ |
研究実績の概要 |
H29年度は、名古屋市食肉衛生検査場からブタ小腸の提供・購入が可能になり、酵素源を安定して確保することが可能になった。しかしながら、「BIO tech 2017第16回バイオ・ライフサイエンス研究展」に出展し、酵素の安定供給を目指してパートナリング提携を目指しているが、提携先が決まっていない状況である。これに関しては、引き続き、酵素の安定供給に向けて提携先を検討する必要がある。一方、H30年度に計画していたが、申請者が提案するAOAC改良変法を用いたレジスタントスターチの定量をH29年度に実施することができた。RSには、RS 1(細胞壁などで物理的に消化されないRS)、RS 2(消化耐性を持つデンプン粒)、RS 3(老化デンプン)ならびにRS 4(加工デンプン)などに分類が異なる。本研究では、4種類の異なる分類のRSを測定試料とし、 AOAC改良変法を用いてRSが正確に定量できるか否かを検討した。その結果として、我々が提案する改良変法は、RSの公定法でもあるAOAC 2009.01法といずれのRS素材を対象とした場合も同等であることが明らかになった。つまり、我々が提案する改良変法は、低分子の難消化性オリゴ糖素材だけでなく、高分子の食物繊維素材ならびにRS素材においても正確に定量できる可能性が示された。これらの研究成果は、平成29年度日本栄養・食糧学会ならびに日本食物繊維学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究成果より、我々が提案しているAOAC改良変法は、難消化性オリゴ糖の中でもβ-グリコシド結合を有するオリゴ糖(2糖類)に関して正確に定量できない可能性が残っているが、それ以外の難消化性オリゴ糖は問題なく、測定することができる。また、高分子の食物繊維およびレジスタントスターチに関しても正確に定量できることを明らかにしてきた。我々が提案しているAOAC改良変法が難消化性糖質定量法として確立するためには、測定結果の妥当性ならびに信頼性などを更に評価・蓄積していく必要がある。また、酵素源の確保や安定供給など解決しなければならない問題は山積しているが、それについては、本年も引き続き、取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
申請した研究課題に取り組むために必要な設備等は整っているが、本研究課題の要である「酵素源」の安定供給が困難な状況にある。本年度も引き続き、「BIO tech 2017第16回バイオ・ライフサイエンス研究展」に出展した際に、できたコネクションを基にしてパートナリング提携を推進する予定である。また、我々が提案するAOAC改良変法には、難消化性オリゴ糖の中でもβ-グリコシド結合を有するオリゴ糖(2糖類)に関して正確に定量できない可能性が残っている。この問題点が何に起因するか明らかにすると共に、その改善策を検討することを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
H30年度に計画していた一部の実験は、H29年度に実施できたが、本研究の核である酵素の安定供給方法の確立していないことが現状である。それゆえ、酵素の安定供給方法の確立の予算が余剰に出ている。H30年度は、酵素の安定供給方法の確立のため、ホモジナイザーのオプション(替刃)を購入し、実験スケールを大きくし、酵素の安定・供給を目指す予定である。
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