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2018 年度 実績報告書

ビタミンB12不足の臨床栄養学的意義に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K00881
研究機関神戸学院大学

研究代表者

田中 清  神戸学院大学, 栄養学部, 教授 (90227132)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードビタミンB12 / 貧血 / 胃切除
研究実績の概要

【背景・目的】ビタミンB12(以下B12)は、胃酸によって食品から遊離し、胃の壁細胞から分泌された内因子と結合した複合体が、回腸末端から吸収される。すなわちB12の吸収において、胃が重要な役割を果たしており、胃切除後にはB12吸収障害のため、巨赤芽性貧血が起こる。しかし肝臓に大量のB12が貯蔵されているため、実際に貧血が起こるのは、手術の数年後とされている。しかしわが国では、胃がんのほとんどは萎縮性胃炎をベースとして発症するため、胃がんにて手術を受ける以前から、B12吸収障害が起こり、肝臓での貯蔵が少なく、より早期から貧血が発症すると仮説を立てて、調査を行った。
【方法】胃切除予定患者及び術後患者を対象に、血中B12・葉酸・ホモシステイン(Hcy)濃度を測定した。
【結果】B12濃度は、胃切除後患者が切除前患者より低く、両者とも健常者に比べ低値であった。B12欠乏者(220pmol/L未満)は術前患者で33%、術後患者で64.4%であり、術後患者の欠乏者のうち44%が術後経過2年以内であった。胃切除後患者では、B12濃度とHcy濃度に有意な負の相関関係がみられた。貧血を有する者ではB12・フェリチン濃度が低く、鉄欠乏性貧血とB12欠乏性貧血の合併が示唆された。
【考察】胃がん患者において術前からおよび術後早期からのB12吸収障害が示唆された。また、鉄欠乏性貧血とB12欠乏性貧血の合併が示唆され、機序として吸収障害が考えられたが、日常臨床ではB12を測定しないため見落とされやすいと考えられた。以上、ビタミンB12吸収障害は、従来考えられているより、はるかに早期から起こり、臨床栄養学的に重要な課題と考えられた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Possible involvement of thiamine insufficiency in heart failure in the institutionalized elderly2019

    • 著者名/発表者名
      Ao M, Inuiya N, Ohta J, Kurose S, Takaoka H, Abe Y, Niki N, Inoue S, Tanaka S, Miyawaki T, Tanaka K.
    • 雑誌名

      J Clin Biochem Nutr

      巻: 64 ページ: 239-242

    • DOI

      10.3164/jcbn.18-85

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Relationship between homocysteine, folate, vitamin B12 and physical performance in the institutionalized elderly.2019

    • 著者名/発表者名
      Ao M, Yamamoto K, Ohta J, Abe Y, Niki N, Inoue S, Tanaka S, Miyawaki T, Tanaka K.
    • 雑誌名

      J Nutr Sci Vitaminol

      巻: 65 ページ: 1-7

    • DOI

      10.3177/jnsv.65.1

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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