ビタミン欠乏より軽度の不足であっても、種々の疾患リスクが増加するが、水溶性ビタミンに関する臨床研究は、わが国においてきわめて乏しい。本研究において、ビタミンB12不足は高齢者の筋力低下と関連することを明らかにし、クローン病モデルにおいて、吸収障害がビタミンB12不足の重要な原因となることを示した。さらに胃切除患者において、従来考えられているより、はるかに早期から、ビタミンB12不足が起こることを明らかにした。すなわちビタミンB12不足は、慢性疾患のリスクと関係し、不足者の割合は高い。このようなビタミンB12不足の臨床的意義を明らかにすることは、高齢化社会において、大きな社会的意義を持ち得る。
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