研究実績の概要 |
高島コホート研究のデータを用いて食事パターンを抽出し、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症、脳卒中、心血管疾患、癌との関連を検討した。高島コホート研究の対象者の中から、80品目の半定量食物摂取頻度調査に回答した20歳以上の7,438名(男性2,737名、女性4,701名)を解析対象者とした。その中の59項目の食品・飲料の摂取頻度から主成分分析を行い、野菜、果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海そう類、魚類などが関連していた「健康型」、肉類・加工肉、めん類、ソフトドリンク、マヨネーズなどが関連していた「高脂肪・肉型」、ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物などが関連していた「低脂肪・魚型」、果物、乳製品などが関連していた「果物・乳製品型」の4つの食事パターンを抽出した。これらの食事パターンと肥満の有病率、高血圧、糖尿病、高脂血症、脳卒中、心血管疾患、癌の既往歴との関連を検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。「健康型」のスコアが高い群は低い群に比べ、糖尿病、高脂血症、癌の既往歴の頻度が高かった。これらは因果の逆転が隠れていると考えられた。ただし、肥満の有病率は低かった。「高脂肪・肉型」のスコアが高い群は低い群に比べ、高血圧、高脂血症の既往歴の頻度が低くかった。「低脂肪・魚型」のスコアが高い群は低い群に比べ、高血圧、糖尿病、高脂血症の既往歴の頻度が低くかった。また、癌の既往歴の頻度も低くかった。「果物・乳製品型」のスコアが高い群は低い群に比べ、高血圧、糖尿病、癌の既往歴の頻度は低くかった。癌の既往歴のある男性44名と性・年齢をマッチングさせた対照群44名の血中脂肪酸組成の検討によると、癌の既往歴のある男性は、ない男性に比べて血中飽和脂肪酸(パルミチン酸)の構成比(%)が有意に高かった。しかし、n-3系脂肪酸との間には有意な関連は見られなかった。
|