研究課題/領域番号 |
16K00884
|
研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
義澤 克彦 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70548396)
|
研究分担者 |
岡本 芳晴 鳥取大学, 農学部, 教授 (50194410)
圦 貴司 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (50330212)
結城 美智子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60467587)
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137) [辞退]
竹之内 明子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (20779227)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 網膜色素変性症 / 視細胞 / キトサンオリゴ糖 / 酸化ストレス / N-メチル-N-ニトロソ尿素 / 動物モデル |
研究実績の概要 |
網膜色素変性症は最終的に失明を来す代表的な眼科疾患で、病態の理解と治療法の開発が必要である。カニやエビなど甲殻類の甲羅・殻に含まれる抗酸化物質であるキトサンの網膜神経保護効果について、N-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)誘発網膜変性症ラットモデルにおいて検証した。2016年度は4%キトサンオリゴ糖含有水(COS水)を明らかにし、2017年度は用量相関性を検証した。7週齢の雌SD系ラットに40mg/kg MNUを単回腹腔内投与した。MNU投与7日前から解剖前まで1、4、8%キトサンオリゴ糖含有水(COS水)を飲水投与した。さらに、MNU投与後6、12、24、72時間および7日の眼球について、網膜厚による視細胞比率(辺縁部網膜、中心部網膜)並びに網膜障害率を算出した。また、網膜の視細胞死(TUNEL、γH2AX)、網膜機能保持率(PDE6β)、酸化障害(HO-1、TG)の有無について免疫染色的手法を用いて検証した。 MNU投与後7日では、MNU単独群に比べて4%COS併用群で中心部の網膜視細胞比率が高く、視細胞障害の抑制がみられた。8%COS併用群では網膜視細胞比率が減少し、増悪化がみられた。網膜障害率はMNU単独群に比べて4%COS併用群で軽減したが、8%COS併用群では増悪化した。MNU投与後12及び24時間でCOS併用群でTUNEL陽性細胞数、γH2AX陽性細胞の出現程度が軽減し、24時間でCOS併用群でHO-1およびTG陽性細胞の出現が軽減した。7日のPDE6β保持率はCOS併用群で高値を示した。以上、4%COS水はMNU誘発視細胞アポトーシスを構造的・機能的に抑制し、網膜の酸化ストレス抑制が関与していた。8%COS水群は体重減少が顕著であり、全身性ストレスが網膜障害の増悪化に関連したものと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度はキトサンオリゴ糖の効果について、用量相関性の有無と、網膜保護効果のメカニズムについてフォーカスを当てて実験を行った。研究代表者が武庫川女子大学に移動した初年度であり、実験体制の構築に時間がかかり、2017年8月まで実験開始時期が遅れたためである。
|
今後の研究の推進方策 |
N-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)誘発網膜変性症ラットモデルにおいて、4%キトサンオリゴ糖による最適投与方法の確立と、遺伝性網膜変性症モデルでの有効性を検証し、臨床応用への提言を行いたい。さらに当初の計画であったキチンオリゴ糖を用いた抑制効果についても予備試験を実施したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2017年度はキトサンオリゴ糖の効果について、用量相関性の有無と、網膜保護効果のメカニズムについてフォーカスを当てて実験を行った。研究代表者が武庫川女子大学に移動した初年度であり、実験体制の構築に時間がかかり、2017年8月まで実験開始時期が遅れたためである。N-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)誘発網膜変性症ラットモデルにおいて、4%キトサンオリゴ糖による最適投与方法の確立と、遺伝性網膜変性症モデルでの有効性を検証し、臨床応用への提言を行いたい。さらに当初の計画であったキチンオリゴ糖を用いた抑制効果についても予備試験を実施したい。
|