1. 妊娠・授乳関連骨粗鬆症に関するリスク因子の評価 平成28年6月より、福岡山王病院産科にて、研究対象者(妊娠14週までの妊婦)の登録を開始し、135名の登録を完了した。早産のためデータが取得できなかった人、研究を途中で辞退する人などを除いた99名の解析を行った。 妊娠前期における踵骨音響的骨評価値(OSI)を高値群49名、低値群50名の2群に分け、各測定項目を比較した結果、OSI高値群の体重、腹囲、妊娠前体重、中性脂肪が、低値群と比較して有意に高かった。また、OSI低値群の骨吸収マーカーTRACP-5bは、高値群と比較して有意に高かった。また出産歴がある群が、出産歴がない群と比較して、妊娠前期のOSIが有意に低かった。OSIと相関する因子を解析したところ、妊娠前期では、身長、体重、腹囲、妊娠前体重について、OSIと正の相関関係が認められた。妊娠後期においては、プロラクチンがOSIと正の相関関係を示した。今回の研究成果は、平成30年10月に開催された第20回日本骨粗鬆症学会にて発表した。 2. 若年女性の踵骨骨超音波値に寄与する因子の検索 本学栄養科学部女子大学生631名を対象として、OSIと、身体測定値、食事調査、血液検査データ、体組成データとの関連について解析を行ったところ、骨格筋量、BMI、体重、安静時心拍数が、OSIに対する独立した説明因子として抽出された。若年女性の骨超音波値が心拍数と負の相関を認めたので、自律神経活動に着目し、さらに解析を行った。脈波から自律神経系の活動度を評価できるTAS9 VIEW(YKC社)を用いて、本学女子学生30名における交感神経の活動度を測定し、OSIとの関連について検討したが、交感神経の活動度とOSIの間に有意な相関は認められなかった。今後は対象者の人数を増やして解析を行いたいと考えている。
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