研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は慢性心不全患者におけるω-3不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸 (EPA) の有効性を心エコーやバイオマーカーなどの指標を用いて評価することである。介入試験は解析症例数に達さず数を増やしている途中であるが、後ろ向き試験で血中EPAやEPA/AA比と心エコー、BNP (心不全の指標となる) との関係を調べたところ、ω-3不飽和脂肪酸と心エコーパラメータまたBNPとの相関を認めなかった。これらはわれわれの「日本人において慢性心不全の治療としてω-3不飽和脂肪酸の補充療法が左心機能を改善する。」という仮説と相いれない結果であった。今後介入試験の症例数を積み重ねて仮説を検証する。
循環器内科学
本研究では日本人において虚血性心疾患に対しては評価されているが、心不全に関しての評価は確立していないω-3不飽和脂肪酸の慢性心不全に対する効果を検討した。欧米人と同様に心不全に対するω-3不飽和脂肪酸の良い効果が認められた場合は本邦で今後増加することが予想されている慢性心不全に対する有力な治療法の一つに加えられる可能性があった。しかしながら現在までのわれわれのデータではその効果は明らかでない。今後症例数を増やすことで日本人の心不全に対してもω-3不飽和脂肪酸の効果を認めることが証明されると、欧米だけではなく本邦のガイドラインにも影響を与えるものと思われる。