研究課題/領域番号 |
16K00892
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研究機関 | 戸板女子短期大学 |
研究代表者 |
大塚 譲 戸板女子短期大学, その他部局等, 教授(移行) (20135833)
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研究分担者 |
能見 祐理 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 助教 (20614887)
三原 瞳 戸板女子短期大学, その他部局等, 助手(移行) (20774631)
上田 悦子 鳥取大学, 医学部, 講師 (40335526)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糖尿病 / AGE / インスリン抵抗性 / 食事 / 血中AGE / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
従来用いられてきた抗体による測定法に代わる遊離のAGEを測定する新しい精密分析法をLC-MS/MSおよびアミノカラムを用いて開発した。醤油などの食品中のAGEをこの方法を用いて測定し、醤油の種類、製造後の保存状態などにより変化することを明らかにした。(J Agric Food Chem. 2016 Nov 9;64(44):8397-8405. )次にこの方法でヒト血清中の遊離AGEを分析し、糖尿病患者と非糖尿病患者の血清AGEを測定するとともにインスリン抵抗性を測定したところ、CMLとCELが糖尿病患者で上昇し、CML濃度はインシュリン分泌と負の相関を、またインシュリン感受性とは正の相関があることが認められた。(Journal of Diabetes Research Volume 2017, Article ID 5139750)生活習慣病である糖尿病への抗酸化物質の影響を明らかにするために、糖尿病自然発生マウスの血清中の遊離AGEを絶食後、経時的に測定したところ、AGEの種類のよって血中濃度の変化が異なっていた。次にヒトの血清と全血等で各遊離AGEの測定値に違いがあるかどうか、食事の影響があるか10人のボランティアの血液で検討した。その結果、食事の内容や、食後の状態によって、差が出ることが明らかになった。また148人の血液と遺伝子、食事の影響について調べ、中華料理や、アディポネクチン遺伝子多型などが、血中遊離AGEに影響することを認めた。結合型AGEの測定法を確立するために、酸加水分解法と酵素法を比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病の評価系として新たにAGEを用いる方法をLC-MS/MSを用いて正確に測定する方法を開発し、ヒト血清中のAGEを分析し、CML,CELが糖尿病の評価法となること、また特に、CMLはインシュリン抵抗性やインシュリン分泌の指標となることを明らかにでき、糖尿病の専門誌にアクセプトされた。血中AGEに及ぼす食事や、遺伝子多型の及ぼす影響を初めて明らかにでき、さらにインパクトファクターの高い専門誌に投稿準備しており、研究は順調に行われている。結合型のAGE分析の確立が課題である。
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今後の研究の推進方策 |
インフォームドコンセントが得られ、食餌調査の結果がある150人分の成人男子の血液中のAGEの分析をさらにすすめ、食事中の抗酸化物質や遺伝子多型との関係を明らかにする。現在遊離型だけではなく、結合型のAGE分析法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に糖尿病マウスを用いて何度か実験を行った。当初の計画では2017年度に高価な糖尿病自然発症マウスを数十匹購入し実験を行う予定でいた。しかしながら、実験を進めるにつれて、次から次に新発見の結果が得られ、糖尿病自然発症マウスを用いるより、ヒトでのデーターのほうが、正確に糖尿病における、解析ができることがわかり、ボランティアの人にお願いし、実験を行うことができた。ボランティアのため、費用が掛からなかった。しかしながら、結合型のAGEの分析法が確立してないこと、LC-MS/MS分析は機器の使用に経費が掛かること、年度末に発注した物品が年度中に納品できなかったこと、また年度末に他の使用希望者がLC-MS/MS使用したため未分析のものが出たため、費用を繰り越して結合型の分析法を確立し、2018年度に分析することとした。
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