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2017 年度 実施状況報告書

骨粗鬆症予防における難消化性食品成分と大豆イソフラボンの併用効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K00901
研究機関国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所

研究代表者

東泉 裕子  国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部, 室長 (20360092)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード大豆イソフラボン / 骨粗鬆症 / 難消化性食品 / 腸内細菌 / 骨密度 / 難消化性グルカン / 閉経後女性 / エクオール
研究実績の概要

研究目的:本研究では、骨粗鬆症予防におけるプレバイオティクス作用を介した難消化性食品成分と大豆イソフラボンの併用効果を明らかにするとともに、難消化性食品成分の腸内細菌叢を介した骨代謝における新規メカニズムを閉経後骨粗鬆症モデル動物において検討することを目的とした。平成28年度のスクリーニング試験により、腸内細菌叢を介した骨代謝において大豆イソフラボンであるダイゼインと難消化性グルカンの併用効果が高いことが示唆された。そこで、本年度はダイゼインと難消化性グルカンのより高い併用効果を見出すことを目的とし、ダイゼイン及び難消化性グルカンの用量の違いによる骨密度及び環境等への影響について検討した。
研究計画:ddY雌性マウスを,偽手術群,卵巣摘出手術を施したOVX群,OVX+0.05%ダイゼイン飼料摂取群、OVX+0.08%ダイゼイン飼料摂取群、OVX+2.5%難消化性グルカン飼料摂取群及びOVX+5.0%難消化性グルカン飼料摂取群に分け、それぞれの飼料を6週間摂取させた後、腸内細菌叢及び大腿骨骨密度等を測定した。
結果及び考察:偽手術群と比較しすべての閉経後モデル群で体重が有意に増加したが、ダイゼイン及び難消化性グルカン摂取は体重増加に影響しなかった。5.0%難消化性グルカン摂取により盲腸内pHが低下するとともに、腸内細菌叢に占めるBacteroidesの増加及び特定のClostridiumの低下が認められた。閉経に起因する大腿骨骨密度の低下を0.08%ダイゼイン摂取は有意に抑制し、5.0%難消化性グルカン摂取は抑制する傾向が認められた。一方、0.05%ダイゼイン摂取及び2.5%難消化性グルカン摂取では、顕著な生体影響は認められなかった。これらの結果より、5.0%難消化性グルカンと0.08%ダイゼインとの併用摂取は、より高い併用効果を生じる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はダイゼインと難消化性グルカンのより高い併用効果を見出すことを目的とし、ダイゼイン及び難消化性グルカンの用量の違いによる骨密度及び腸内環境等への影響について検討した。ダイゼイン及び難消化性グルカン、それぞれ低用量及び高用量の飼料(0.05%ダイゼイン飼料、0.08%ダイゼイン飼料、2.5%難消化性グルカン飼料及び5.0%難消化性グルカン飼料)を閉経後モデルマウスに摂取させ、閉経に起因する骨密度の低下、腸内環境及び腸内細菌叢、体重増加、腹部脂肪量、並びに血中脂質における用量の違いによる作用を評価した。
用量の異なるダイゼイン及び難消化性グルカン飼料の摂取による、骨密度、腸内環境及び腸内細菌叢への生体影響への違いや用量依存性が観察でき、来年度の併用摂取試験へつながる試験結果がえられた。
おおむね想定していた通りに動物試験の実施、サンプル測定及びデータ解析を実施できたが、一部再統計解析を検討しているデータもあり、それらは平成30年度に実施予定である。
これらのことから、29年度の研究計画は80%達成することができたと判断した。

今後の研究の推進方策

平成29年度のダイゼイン及び難消化性グルカンの用量試験により、0.05%ダイゼインと5.0%難消化性グルカンとの併用摂取は閉経に起因する骨密度低下抑制に対してより高い併用効果を生じる可能性が示唆された。そこで平成30年度は従来の研究計画に従い、それらの併用効果を検討する予定である。具体的には、0.05%ダイゼインと5.0%難消化性グルカンの混合飼料を閉経後モデルマウスに摂取させ、エクオール産生能を評価するとともに、腸内細菌叢、骨密度、骨髄や腸の骨代謝および炎症関連遺伝子発現、および血中脂質等を評価する予定である。また、難消化性グルカン単独摂取による腸内細菌叢を介した骨代謝および脂質代謝に対する作用もあわせて検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
「人件費・謝金」として予算を立てていたが適切な人材がみつからなかったため、それらの予算を執行できなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
(使用計画)
次年度使用額は平成30年度の研究の進行状況に応じて、その際に必要とされる経費にあてていく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The effects of green kiwifruit combined with isoflavones on equol production, bone turnover and gut microflora in healthy postmenopausal women.2018

    • 著者名/発表者名
      Kruger MC, Middlemiss C, Katsumata S, Tousen Y, Ishimi Y.
    • 雑誌名

      Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition

      巻: 27(2) ページ: 347-358

    • DOI

      10.6133/apjcn.062017.06.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] ゾウコギ摂取が閉経後早期モデルマウスの肝臓薬物代謝酵素および骨密度に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      東泉 裕子, 松本 雄宇, 西出 依子,山内 淳,竹林 純,渕野 裕之,河野徳昭,吉松 嘉代,川原 信夫,石見 佳子.
    • 雑誌名

      栄養学雑誌

      巻: 75(6) ページ: 151-163

    • DOI

      https://doi.org/10.5264/eiyogakuzashi.75.151

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] エゾウコギ摂取が閉経後モデルマウスの肝臓薬物代謝酵素および骨密度に及ぼす影響2017

    • 著者名/発表者名
      東泉裕子、松本雄宇、西出依子、山内淳、竹林純、渕野裕之、河野徳昭、吉松嘉代、川原信夫、石見佳子
    • 学会等名
      第71回日本栄養・食糧学会大会
  • [学会発表] 正常及び閉経後骨粗鬆症モデルマウスにおける甘草抽出物の安全性及び有効性評価2017

    • 著者名/発表者名
      東泉裕子、松本雄宇、山内淳、竹林純、渕野裕之、河野徳昭、吉松嘉代、川原信夫、石見佳子
    • 学会等名
      第64回日本栄養改善学会学術総会
  • [学会発表] The effects of resistant starch on bone loss via intestinal microbiota and inflammation in ovariectomised mice.2017

    • 著者名/発表者名
      Tousen Y、Matsumoto Y、Nagahata Y、Ishimi Y
    • 学会等名
      ブエノスアイレス/アルゼンチン(IUNS 21回 国際栄養学会議)
    • 国際学会
  • [図書] 内分泌・糖尿病・代謝内科2017

    • 著者名/発表者名
      石見佳子、東泉裕子
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      科学評論社
    • ISBN
      1884-2917

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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