研究課題/領域番号 |
16K00903
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
白野 倫徳 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター), 臨床研究センター, 医長 (00727638)
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研究分担者 |
羽生 大記 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (40301428)
加藤 久美子 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 客員研究員 (50721825)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | HIV / 低栄養 / CONUT / CD4陽性リンパ球数 / エイズ / レプチン |
研究実績の概要 |
平成28年度は目標症例数の3分の2にあたる約60例をリクルートした。 中間解析として得られたデータよりHIV陽性者における適正なBMI(Body Mass Index)値を算出した。 BMI<22.5では、総リンパ球数が有意に低く、CD4カウントが低い傾向にあった。一方、27.5≦BMIでは、メタボリックシンドロームの検査値が有意に高くなり、メタボリックシンドロームと予備群を合わせた併存率は85%以上となった。以上のことから、HIV陽性者における適正なBMIは、下限は22.5、上限は27.5であることが示唆された。 また、CD4カウント高値群では、低値群と比較して体脂肪率が高い傾向にあり、BMI及び体脂肪量が有意に高かった。腹囲は大きい傾向にあり、T-chol, LDLが有意に高かった。 以上の結果は、第31回日本エイズ学会総会・学術集会(平成28年11月25日、鹿児島市)および第20回日本病態栄養学会(平成29年1月13日、京都市)において発表した。 現代のHIV陽性者は、過栄養の問題を抱える者と、低栄養の問題を抱える者の両方がおり、画一的な栄養介入では通用しない。本研究は潜在的な低栄養患者を抽出し、特定のリスクを持つ者に積極的に介入を行うという、HIV陽性者のテーラーメード栄養療法の確立につながるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目標症例数は、適切なサンプルサイズの計算に基づき、当初の予定では90症例(介入群45症例、対照群45症例)と設定していた。平成29年3月31日現在のリクルート症例数は約60例で、3分の2が終了したことになる。今後、当初に比べて新規リクルートがペースダウンしてきていることを考慮すると、目標までの残り30症例を終了するには1年程度を要する見込みであり、解析に要する時間を考慮すると今年度中にリクルートを終了する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に症例リクルートを終える予定である。 栄養バランスの取れた経口栄養剤(250kcal/1缶/日)を3ヶ月間飲み続ける栄養介入により、臨床的に意義があるとされる30%以上のCD4カウントの増加、つまり免疫能の向上がみられるかどうか検証する。 介入期間後もCD4カウント増加の効果が維持かどうか、引き続きフォローアップを行う。また、先行研究より、HIV陽性者の体重とCD4カウントの関連が示唆されているが、そのメカニズムは明らかではない。CD4カウントの増加が、体脂肪量の増加によりレプチン分泌が増加することによるCD4陽性T細胞の分化促進によるものかどうかを検証するため、保存血清においてレプチン濃度の測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
現段階で目標症例数の3分の2程度につき研究が実施されているが、引き続き症例数を増やす必要があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き30症例程度をリクルートする予定であり、経口栄養剤の投与およびその送付に費用を要する見込みである。 また、研究の成果を国内外の学会で発表、論文投稿を行う予定である。
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