研究課題/領域番号 |
16K00904
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
宮田 昌明 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (90239418)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | タウリン / FXR / 胆汁酸 / 消化管 / 脂肪性肝疾患 |
研究実績の概要 |
いか、たこ、かき等の水産物に多く含まれるタウリンによる脂肪性肝疾患の改善と胆汁酸組成変化について明らかにするため脂肪性肝疾患モデルのFxr欠損マウスに0.5%および2%タウリン含有水を4週間摂取させた。0.5%タウリン群で顕著な血清のalanine aminotransferase (ALT)活性とalkaline phosphatase(ALP)活性、triglyceride(TG)レベルの低下が、肝臓のTGとnon-esterified fatty acid(NEFA)レベルの低下が認められ、脂肪性肝疾患の改善が認められた。一方2%タウリン群では肝臓、血清のTGレベルの低下は認められたが、その他のマーカーは有意に低下しなかった。肝臓の胆汁酸組成はタウリン処置群(0.5%と2%)でtaurocholic acid (TCA)とtauro-β-muricholic acid(TβMCA)の有意な減少と、CAの有意な増加が認められた。糞中の胆汁酸組成はタウリン処置群(0.5%と2%)でdeoxycholic acid (DCA)の低下が認められ、2%タウリン群でβmuricholic acid(βMCA)の増加が認められた。 野生型(C57BL/6N)マウスに2%タウリン含有水を摂取させた時の回腸上皮細胞内ではcholic acid (CA)とβMCAレベルの顕著な減少が認められ、TCAとTβMCAレベルも減少傾向となり,総胆汁酸レベルが有意に減少した。この時回腸のFXR標的遺伝子のShpやFgf15mRNAレベルの発現低下が認められ、回腸FXRシグナルが減弱している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はタウリン処置時の研究を発展させた。一部胆汁酸の標品の入手に手間取り胆汁酸組成分析が遅れたが、タウリン処置マウスの種々の組織、血液、糞中の胆汁酸を測定した。タウリン処置による病態改善時の胆汁酸組成変化についても明らかになってきたことより、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1. 魚油添加による脂肪性肝疾患の改善時の胆汁酸組成変化を明らかにすることにより、タウリン処置の場合と比較して、共通の変動パターンを明らかにする。 2. タウリンと魚油の配合食による脂肪性肝疾患の改善効果、胆汁酸組成変動のパターンを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目に胆汁酸測定系を立ち上げたが、これが予想より安価に構築出来たため、繰り越し金が生じた。当該年度は予定通りの実験を実施し、予定通りの予算を使用した。最終年度では動物実験の動物の使用数を予定していたものより増やして実施する予定である。
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