研究実績の概要 |
水産由来機能成分として魚油(docosahexaenoic acid, eicosapentaenoic acid)成分とtaurine に注目した。魚油成分は脂肪低下作用が知られており,実際に脂肪性肝疾患モデルのfarnesoid X receptor(FXR)欠損マウスに2%魚油+2%コーン油含有食を4週間摂取させると4%コーン油含有食に比べ肝臓と血清中の脂質レベルが低下し、肝機能マーカー(alanine aminotransferase (ALT), alkaline phosphatase(ALP))の低下が認められた。しかし、消化管管腔内の胆汁酸の質的、量的な変化は認められなかった。 一方taurine 0.5%含有水をFxr欠損マウスに4週間摂取させると肝臓、血中のトリグリセリドの減少とALT,ALP活性の低下が認められた。Taurine 0.5%含有水10日間摂取により野生型マウスでは,消化管管腔内と門脈中でtauro-beta-muricholic acid とtaurocholic acid 濃度の増加が認められ、肝臓内のこれらの胆汁酸濃度の増加も認められた。肝臓の胆汁酸合成の律速酵素のCyp7a1の発現増加が認められ、回腸のFXR標的遺伝子のFgf15やShpのmRNAレベルの減少が認められた。これらの結果はtaurine摂取は胆汁酸動態を変化させることにより消化管FXRシグナルの減弱を誘起させる可能性を示した。
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