研究実績の概要 |
2022年度は、野生鳥獣肉(ジビエ)の利活用の現状を明らかにする目的で、近畿地方のA県におけるジビエを扱う飲食店の口コミの分析と飲食店4軒へのインタビュー調査を行った。口コミ調査については、評価が5点満点中3.5点以上の店舗を対象に店舗の情報及び約1,700件の口コミを収集した。収集された口コミは、計量テキスト分析ソフト KH Coderを用いて、頻出語句と語句同士の関係を解析する共起ネットワーク分析を行なった。店舗の料理のジャンルとしては、フレンチが最も多く、イタリアン及びビストロが上位3ジャンルだった。扱われているジビエの種類は、カモが最も多く、シカ及びイノシシがそれに続いた。店舗の規模としては、40席以下が全体の75%を占めており、大規模店は少ないことがわかった。口コミの頻出語句としては、ジビエ関係では、「カモ」、「シカ」及び「イノシシ」が多く認められた。また、味の印象に関係する「臭み」、「旨味」及び「クセ」という語句も多く認めれた。語句同士の関係を解析する共起ネットワーク分析の結果では、「ジビエ」、「食べる」、「美味しい」のようなジビエの喫食経験及び印象を示すクラスター、「甘い」、「旨い」等のジビエの脂に対する印象のクラスター、イノシシ肉に対して「柔らかい」、シカ肉に対して「臭み」、「クセ」、「無い」というイノシシやシカ肉に対する高評価を示すクラスターが認められた。 飲食店へのインタビュー調査では、扱っているジビエの種類として、イノシシ及びシカは、インタビューを行ったすべての店舗で取り扱っていた。ジビエ料理のみの客単価は、1,000円から3,000円と低めに設定し、まず食べてもらうことを目指していることが分かった。 店舗利用者のジビエ印象に対する印象としては、獣害という認識よりは、とても美味しい肉という印象が多いという印象であることがわかった。
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