研究課題/領域番号 |
16K00919
|
研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
小松崎 典子 聖徳大学, 人間栄養学部, 講師 (20536312)
|
研究分担者 |
藤原 しのぶ 聖徳大学, 人間栄養学部, 准教授 (10279672)
佐藤 明恵 聖徳大学, 人間栄養学部, 助手 (20774003)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 妊娠・授乳期 / 高脂肪食 / 乳酸菌 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
ふなずしから分離したLactobacillus paracasei NFRI 7415の摂取が、妊娠・授乳期の母親と乳児の健康に及ぼす影響を明らかにすることを目的に研究を実施した。当該年度の研究でLb. paracasei NFRI 7415が、長期間アルコールを摂取したラットの肝臓中のコレステロール濃度の上昇を抑制する働きがあること、また乳酸菌を摂取したマウスの糞中コレステロール量が増加したことから、腸管内で菌体がコレステロールを取り込み、体外に排泄する能力があることを見いだした。 妊娠マウスを標準食(C)群、高脂肪食(H)群および高脂肪食+乳酸菌投与(L)群の3群に分けて飼育し、出産後の仔マウスは50日間飼育した。乳酸菌を培養後、洗浄ののち回収し、107 cfu/mLになるように飲料水を調製し、自由に摂取させた。母マウスと仔マウスの血漿脂質、肝臓脂質、腸内細菌叢を調べた。離乳直後の生後21日目、31日目、40日目、50日目の仔マウスについて解剖をおこなった。離乳直後の母マウスの体重、飼料摂取量、血漿脂質、血漿中のインスリン濃度、肝臓脂質に3群間で有意な差は見られなかった。L群の仔マウスの体重、血漿トリアシルグリセロール濃度と血漿インスリン濃度は、生後31日目まではH群に比べて有意に低値を示したが、生後31日目以降はH群との差は見られなくなった。仔マウスの体重、肝臓脂質についても、飼育期間をとおして3群間で有意な差は見られなかった。 離乳直前(生後20日目)に母マウスの糞中細菌を調べたところ、H群に比べてL群の仔マウスの糞中ビィフィズス菌が増加し、クロストリジウム属菌が減少した。嫌気性菌と好気性菌の総数は、3群間で有意差は見られなかった。乳酸菌を摂取することで、妊娠・授乳中のマウスの腸内細菌叢に影響を及ぼすことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飼育期間をとおしてマウスの体重と肝臓脂質に有意差がなかったため、計画していた肝臓の脂質代謝関連酵素の解析を中止した。飼育後のマウスの生化学試験(母マウスと出生後の仔マウスの血中脂質および肝臓脂質の測定)と、マウス糞中の腸内細菌叢の解析については予定通り実施した。今回の研究で、出生後のマウスの健康は、母親が摂取した乳酸菌に影響されることが明らかとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、妊娠・授乳期のカルシウム不足と乳酸菌摂取が、出生後の仔マウスにどのような影響を及ぼすかを検討する。妊娠マウスを標準食群、カルシウム制限食群およびカルシウム制限食+乳酸菌投与群の3群に分けて飼育し、母マウスと仔マウスの骨代謝およびカルシウム動態、腸内細菌叢、仔マウスの成長について比較する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
妊娠マウスの実際の購入価格が、計画時よりも安価であった。
|
次年度使用額の使用計画 |
動物飼料の購入に使用する。
|