研究課題/領域番号 |
16K00922
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
饗場 直美 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (50199220)
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研究分担者 |
金田 雅代 女子栄養大学, 付置研究所, 客員教授 (30413066)
中馬 和代 鹿児島純心女子短期大学, 生活学科, 教授 (90765835)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食教育 / 学校給食 |
研究実績の概要 |
本研究は、栄養教諭制度の導入や学校給食法の改正によって学校給食がどのように変化したのか、過去10年間にさかのぼって、学校給食献立の内容の変化を時系列的に比較し、栄養教諭導入により学校における給食がどのように食育展開に活用されてきたのかについて明らかにしようとしている。 平成28年度は、全国8県(岐阜県、滋賀県、香川県、石川県、富山県、鹿児島県、広島県、福島県)における平成17,21,26年度の1年間の給食献立について、データベースの作成を行った。我々が先行研究において作成したデータベースでは、各年のうち6月と11月の2か月間の献立について入力を行ったが、本研究から1年間の献立についても入力することとし、本年度は各県におけるデータベース作成を中心に行った。各県において作成されたデータベースを元に、各県ごとに栄養教諭を中心とした献立研究チームにおいて、県ごとの10年間における学校給食の変遷について解析を行い、第63回日本栄養改善学会において、その成果(11件)を発表した。 栄養教諭が導入される以前の平成17年度の献立と導入されて10年を経過した平成26年度の献立を比較すると、いずれの県においても、ごはんを中心とした和食の献立が増加し、また主食・主菜・副菜・汁物といったバランスのとれた食事の構成をした献立の出現率が増加していた。また、食育推進基本計画で目標に設定されている学校給食での地場産物の活用においても、すべての県において地場産物の利用率が増加したことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度中に全国版としての統合データベースを作成することとしていたが、全国統一データベースの完成に至らなかった。その理由として、先行研究においては平成17、21、26年度の各年のうち6月と11月の2か月間をデータベースの入力期間として設定し、これまで解析を実施してきたが、試行的に1年間のデータを入力し献立内容について解析した結果、季節間による変動が示唆されたため、1年を通した献立データ入力の必要性が明らかになり、各年8か月分の追加の献立入力作業を行い、その入力に時間を要したことがある。 また、より全国網羅的なデータとするため調査地域を広げる必要性も考えられたことから、新たな地域のフィールドを構築し、研究フィールドとしての範囲を広げることによってより広範な範囲での献立の内容について検討を行えることが可能となったが、本研究の独創的な点である各県の栄養教諭を中心とした研究班を構築し、研究班メンバー(各県10~20名)が自らの献立の評価を行うという仕組み上、そのフィールドの構築及び研究実施までの準備として、新たな研究班メンバーの研修等に時間を要したため、各地域での進捗状況がばらついたこと等から、本研究全体としての進捗状況にやや遅れが生じたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで全国8県の栄養教諭からなる研究チームを構築してきたが、全国の献立として考える際、必ずしも全国地域として完全に網羅されていないことから、関東圏及び中国地方でのフィールドの設定と研究班の構築を行い、より網羅的な献立データベースの構築を推進する予定である。また、当初考えていた全国統一のデータベースとしての構築においては、各県での進捗状況が異なることから、各県でのデータベースが全て完成した後に統合することとし、それまでは各県での献立研究として県別の解析を進め、各県での成果のフィードバックを検討する。各県のデータ解析から得られた成果は、本年度と同様に県ごとに学会で発表する。 栄養教諭および栄養士に向けたアンケート実施は、今年度中に各県において実施することとし、現在各県において作成し、最終的に全国版として完成の後、調査を実施する。 学校教諭へのアンケート実施においては、学校等での調整が必要であることから、フィールド設定について順次調整しつつ、アンケート内容の決定後、調査を実施する。
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